ごろねこ倶楽部/まんがの部屋/さ行の作家

 ★西岸良平★

 1947年生。1972年、『夢野平四郎の青春』がビッグコミック賞で佳作入選し、デビュー。
 西岸良平の
『夢野平四郎の青春』が「ビッグコミック」に掲載されたとき、佳作というのが意外だった。この作品が佳作では、ビッグコミック賞を受賞する作品など出るわけがないと思えたのだ。それほどよくできた作品だった。審査員の作家たちは、何か欠点をあげつらっていたが、本人たちがそれ以上の短編作品を描いているとも思えなかった。デビュー後一年ほどは、凝ったペンタッチで絵に対する作者の試行錯誤の跡が窺えるが、すぐに独特の画風を確立し、以後三十年以上一貫して西岸流の画風と作風を通し続けている。昭和三十年代の庶民の記憶を揺り起こすノスタルジックな雰囲気が持ち味で、SF、ミステリー、ファンタジー、時代劇、ホーム・ドラマとどんなジャンルの作品を描いても、もはや亜流を生み出す余地もないほどの独自の存在である。じつのところ、私はそれほど熱心に西岸作品を追いかけているわけではないが、ふとしたときに無性に『夕焼けの詩』『鎌倉ものがたり』の世界に浸りたくなる。西岸作品は、空気のようなものである。ときどき存在することを忘れてしまうが、まんが界にとって絶対に必要不可欠な作品なのだ。 

 
※画像データ (左から)『夕焼けの詩(1)』(小学館・ビッグコミックス・1983年23刷)、『たんぽぽさんの詩(3)』(祥伝社・BISHO COMICS・1982年初版)、『魔術師』(双葉社・アクションコミックス・1979年初版)、『鎌倉ものがたり(1)』(双葉社・アクションコミックス・1985年初版)、『ミステリアン』(双葉社・アクションコミックス・1985年初版)、『ポーラーレディ』(双葉社・アクションコミックス・1987年第1刷) 

★彩田あきら★ 
 生年不詳。デビュー作不明。苗字は「さいだ」と読む。「竹中いずみ」名義の少女まんがもある。1950年代に少年少女まんがを多く描いていたが、後にイラストレーターに転向したらしい。 
 
※画像データ (左から)『弓張月』(富士見出版社・1957年刊)、『韋駄天童子・名笛銀虎の巻』(金園社・1955年刊)、『やまびこどうじ』(「幼年クラブ」1956年2月号付録)、『水戸黄門・人くい狒狒』(「幼年ブック」1956年10月号付録)、『ぎゃらむの洞窟』(「幼年ブック」1956年12月号付録)、『オーロラのがいか』(「幼年ブック」1957年6月号付録) 

★さいとう・たかを★ 

 1936年生。1955年『空気男爵』(日の丸文庫)でデビュー。
 私が最も多くの作品を読んでいるまんが家は、手塚治虫ではなく、さいとう・たかをかも知れない。1959年に桜井昌一ら七名の同士と共に「劇画工房」を結成したさいとうは、私が物心つくころにはすでに貸本まんが界のスターであった。とくに人気があった
『台風五郎』シリーズは、他作家の類似シリーズに比べて絵もストーリーも図抜けてよい出来に思えた。「ゴリラ・マガジン」「刑事」などのアンソロジー誌でも看板作家だった。貸本時代の長編シリーズに『ベリー・ファーザー』『武芸紀行』『デビルキング』がある。手塚でさえ宇宙らしくない宇宙を描いていた時代に、『ベリー・ファーザー』には感動したものだ。この3作は後にそれぞれリメイクしているが、本人に自信もあり愛着もあった作品なのであろう。その後、さいとうは一般誌に進出するが、私は雄大なスケールを感じさせる『鮫狩り』が好きだ。さいとうは、早い時期から分業プロダクション制を確立し、時代劇・SF・ミステリー・アクション・政治物など幅広いジャンルの作品を安定して供給し続けている。1968年に連載が始まった『ゴルゴ13』にいたってはいまだに連載中である。好きな作品は多くあるが、さいとうの意外とロマンチックな個性が色濃く感じられる初期の作品を、ここでは選んでおきたい。

 

※画像データ (左から)『ベリー・ファーザー(3)』(さいとうプロ・1963年刊)、『ふきげんな拳銃』(さいとうプロ・1962年刊)、『武芸紀行(4)』(さいとうプロ・1962年刊)、『デビルキング(2)』(さいとうプロ・1964年刊)、『鮫狩り』(朝日ソノラマ・サンコミックス・1968年初版)、『少年マガジンコミックス・無用ノ介(3)』(講談社・1968年刊) 


★齋藤なずな★ 

 1946年生。1986年、『ダリア』が第21回ビッグコミック賞に入選してデビュー。
 斎藤のまんが作品の単行本は、おそらく6冊しか刊行されていないと思う。
『恋愛列伝』は、『千年の夢−文人たちの愛と死−』と改題して2002年に小学館文庫から上下巻で再刊行されている。『鳥獣草魚』『片々草紙』『迷路のない町』は、市井の人々のドラマを描くシリーズで、ふとした苦境に陥った人々が最後には前を向いて一歩歩き出す姿が描かれている。幸せの見つけ方は人それぞれにある、と示すドラマ作りの巧さは類を見ない。さらに『恋愛列伝』となると、その巧さが際立つ。他にこれほど血の通った評伝があるだろうか。1作1作を、おそらくは数多くの資料を読み込んだ正確さと、大胆に脚色する想像力で、「真実」のドラマを生み出している。たとえば、与謝野晶子と山川登美子の確執は作者自身の体験で理解したと告白している。それで思い出すのは、『鳥獣草魚』の1編『チューリップ畑でつかまえて』に描かれた恋人を奪い合った親友たちの話である。そちらのほうが作者の実感に近い作かも知れない。二度と交わらない親友との人生にも、永遠に共有する無垢な子供時代が存在すると、斎藤はそんな視点を持った作家である。だから、近代の文学者たちが愛憎の人生を辿って還っていくのも、また、無垢の地と思わせるような清らかな香り高い読後感が斎藤作品にあるのだろう。

 
※画像データ (左から)『鳥獣草魚』(小学館・ビッグコミックス・1991年初版)、『片々草紙』(話の特集・1992年初版)、『迷路のない町』(小学館・ビッグゴールドコミックス・1994年初版)、『恋愛列伝(上)』(小学館・ビッグゴールドコミックス・1995年初版)、『恋愛列伝(中)』(小学館・ビッグゴールドコミックス・1997年初版)、『恋愛列伝(下)』(小学館・ビッグゴールドコミックス・1998年初版) 

★西原理恵子★ 
 1964年生。1988年、「週刊ヤングサンデー」の『ちくろ幼稚園』でデビュー。 
 
※画像データ (左から)『はれた日は学校をやすんで』(双葉社・1999年第10刷)、『ぼくんち』(小学館・2008年第6刷)、『女の子ものがたり』(小学館・2009年第2刷)、『上京ものがたり』(小学館・2004年第1刷)、『パーマネント野ばら』(新潮社・2006年刊)、『いけちゃんとぼく』(角川書店・2006年初版) 

 ★坂口尚★

 1946年生。1969年『おさらばしろ!』(「COM」)でデビュー。「ハンマー坂口」名義の作品もある。1995年没。
 「COM」でデビュー作を見たときは、あまり気にとめない作家だったが、虫プロが作った劇場用長編アニメ
『クレオパトラ』(原案・手塚治虫/キャラクター・デザイン・小島功)をまんが化した作品を「COM」別冊として描き下ろしで刊行したときに、「だれだぁ〜、これは」と驚いた。とても新人とは思えない巧さを持っていたのだ。その後、「ぼくらマガジン」に連載した『ウルフガイ』(原作・平井和正)や、ぽつぽつとマイナー誌に発表される短篇を目にすることはあったが、単行本は買っていなかった。が、1987年に双葉社から出た3冊の短編集『戦士の休息』『ともしび』『星降る夜』を買って読み、すごい作家だと改めて認識した。それ以前の単行本『たつまきを売る老人』『電飾の夜23:59発』など目につくものは買ったが、またしばらく遠ざかっていた。坂口の代表作には長編三部作と呼ばれる『石の花』『VERSION』『あっかんべェ一休』がある。どれも長編まんがというジャンルの達成を示す作品だが、じつは坂口逝去の報を聞き、あわてて揃えて読んだのだった。よかった。まんがファンを自認しながらリアルタイムで読んでいなかった自分が恥ずかしくなった。以後、坂口作品はすべて読もうと決めたのである。

 
※画像データ (左から)『電飾の夜23:59発』(東京三世社・マイコミックス・1983年初版)、『月光シャワー』(東京三世社・マイコミックス・1987年初版)、『3月の風は3ノット』(潮出版・希望コミックス・1981年初版)、『たつまきを売る老人』(奇想天外社・奇想天外コミックス・1980年初版)、『無限風船』(ブロンズ社・1982年初版)、『石の花(1)』(潮出版社・希望コミックス・1984年刊) 
topic   坂口尚所有作品リスト (私が所有している作品だけです)
書名 発行年月日 出版社 収録作品 備考
トム=ソーヤーの冒険 1970.8.20 講談社 (原作:マーク・トウェイン) 名作マンガ(1)
クレオパトラ 1970.10.5 虫プロ商事 クレオパトラ(原案・手塚治虫) COM増刊号
魚の少年 1979.4.10 奇想天外社 魚の少年/カペラ/手/しおり/反転/しわ/神との賭/…110よ/「ミル」という名の娘についての事/イラストファンタジィ 奇想天外コミックス
ウルフガイ(1) 1979.10.10 奇想天外社 ウルフガイ(「ぼくらマガジン」1970年43号〜52号分) 平井和正原作・奇想天外コミックス
ウルフガイ(2) 1979.11.10 奇想天外社 ウルフガイ(「ぼくらマガジン」1197052号〜1971年9号分) 平井和正原作・奇想天外コミックス
たつまきを売る老人 1980.2.10 奇想天外社 コラージュ/影ふみ/野の花/穏かな日/国境の店/たつまきを売る老人/恋人/化石/いちご都市/故郷/流れ星 奇想天外コミックス
星の動く音 1981.4.15 奇想天外社 星降る夜/宝石狩/秘密/遠いささやき/絆/祭の日/新世界/星の動く音 奇想天外コミックス
3月の風は3ノット 1981.8.20 潮出版社 独立祭の夜/3月の風は3ノット/高田くんの時計/よわむしコロ/銀河飛行 希望コミックス
12色物語(上) 1982.6.25 潮出版社 朝凪/ひまわり畑/蜃気楼/紫の炎/万年筆/雪の道 希望コミックス
12色物語(下) 1982.8.10 潮出版社 窓辺のふたり/ブルックリン日曜日/錆びた鍵/マーロのオレンジ/遁走曲/夜の結晶 希望コミックス
無限風船 1982.2.25 ブロンズ社 無限風船(絵本)
電飾の夜23:59発 1983.10.10 東京三世社 電飾の夜23:59発/シンフォニィィィ/カノン/進化/夏休み/6月の雨/流転/ マイ・コミックス
電飾の夜23:59発 1984.10.1 東京三世社 電飾の夜23:59発/シンフォニィィィ/カノン/進化/夏休み(マイ・コミックス収録作の一部に改変有り) シティ・コミックス
石の花(1) 1984.10.15 潮出版社 石の花(第1話〜第6話) 希望コミックス
石の花(2) 1985.3.1 潮出版社 石の花(第7話〜第9話) 希望コミックス
石の花(3) 1985.11.15 潮出版社 石の花(第10話〜第15話) 希望コミックス
石の花(4) 1986.4.30 潮出版社 石の花(第16話〜第18話) 希望コミックス
石の花(5) 1986.8.1 潮出版社 石の花(第19話〜第20話) 希望コミックス
石の花(6) 1986.10.25 潮出版社 石の花(第21話〜第24話) 希望コミックス
紀元ギルシア 1987.1.16 双葉社 紀元ギルシア/夏時空/エストレリータ アクション・コミックス
坂口尚作品集1・戦士の休息 1987.2.20 双葉社 コッケル氏の財産覚書/戦士の休息/奇蹟/遠いささやき/故郷/流れ星/宝石狩/祭の日/微睡/星の動く音 アクション・コミックス
坂口尚作品集2・ともしび 1987.2.20 双葉社 色えんぴつ/花火/金盞花(時知らず)/おるごおおる/小春日和/恋人/冬の月/灯/絡繰眼鏡/いちご都市/魚の少年 アクション・コミックス
坂口尚作品集3・星降る夜 1987.3.28 双葉社 陽だまり/星降る夜/秘密/絆/新世界/ぶううめらぁん/影ふみ/野の花/たつまきを売る老人/国境の店/めぐりあい/化石/穏やかな日 アクション・コミックス
月光シャワー 1987.7.10 東京三世社 月光シャワー(オリジナルを大幅に改変) マイ・コミックス
レート・ドッグ 1989.10.10 大都社 レート・ドッグ/春雷/進化/故郷/星降る夜/流れ星/穏やかな日/夏休み/星の動く音(一部の作に改変有り)
VERSION(VOL.1) 1991.7.20 潮出版社 VERSION(1〜2) 希望コミックス
VERSION(VOL.2) 1991.9.5 潮出版社 VERSION(3) 希望コミックス
VERSION(VOL.3) 1992.6.30 潮出版社 VERSION(4〜5) 希望コミックス
あっかんべェ一休(1) 1993.12.18 講談社 あっかんべェ一休(第1話〜第4話) アフタヌーンKCDX
あっかんべェ一休(2) 1994.6.23 講談社 あっかんべェ一休(第5話〜第11話) アフタヌーンKCDX
あっかんべェ一休(3) 1995.4.21 講談社 あっかんべェ一休(第12話〜第19話) アフタヌーンKCDX
あっかんべェ一休(4) 1996.1.23 講談社 あっかんべェ一休(第20話〜第27話) アフタヌーンKCDX
石の花(1) 1996.7.12 講談社 石の花(侵攻編・第1話〜第7話)希望コミックス版に加筆 講談社漫画文庫
石の花(2) 1996.7.12 講談社 石の花(抵抗編・第8話〜第13話) 講談社漫画文庫
石の花(3) 1996.7.12 講談社 石の花(内乱編・第14話〜第18話) 講談社漫画文庫
石の花(4) 1996.8.9 講談社 石の花(激戦編・第19話〜第20話) 講談社漫画文庫
石の花(5) 1996.8.9 講談社 石の花(解放編・第21話〜第24話) 講談社漫画文庫
あっかんべェ一休(上) 1998.10.12 講談社 あっかんべェ一休(第1話〜第11話) 講談社漫画文庫
あっかんべェ一休(下) 1998.10.12 講談社 あっかんべェ一休(第12話〜第27話) 講談社漫画文庫
VERSION(上) 2000.12.12 講談社 VERSION(1〜3) 講談社漫画文庫
VERSION(下) 2001.1.12 講談社 VERSION(3承前〜5)/星の界(よ) 講談社漫画文庫
坂口尚短編集(1)午后の風 2000.12.22 チクマ秀版社 はばたき/野の花/おるごおおる/影ふみ/たつまきを売る老人/国境の店/穏やかな日/ぶううめらぁん(1〜5)/化石/コラージュ/無題(蝶)/金盞花(時知らず)/冬の月/…110よ/絡繰眼鏡
坂口尚短編集(2)紀元ギルシア 2001.3.10 チクマ秀版社 紀元ギルシア/ゼファZEPHYR(微風そよかぜ)/エストレリータ(小さな星)/8月の草原/イラストファンタジー
坂口尚短編集(3)闇の箱 2001.7.9 チクマ秀版社 闇の箱/おさらばしろ!/反転/しわ/神との賭/「ミル」って名の娘についての事/しおり/虹の日の出発
坂口尚短編集(4)きずな 2002.2.22 チクマ秀版社 陽だまり/色えんぴつ/小春日和/流転/絆(きずな)/初雷/而来夜(ジライヤ)/花火/夢花火/線香花火/天の河/6月の雨/灯(ともしび)
坂口尚短編集(5)ドレみ空! 2003.6.18 チクマ秀版社 ドレみ空!/流れ星/故郷/星降る夜/谺(こだま)/武瑞左門/雪が降る/魚の少年/カデンツ/レート・ドッグ
坂口尚未発表作品集 2001.12.22 チクマ秀版社 旅行/化石の城/……?/イラスト
坂口尚イラストファンタジィ 2003.6.18 チクマ秀版社 イラストファンタジィ作品bP−19/ぶううめらぁん作品bP−7
…未来へ 2003.12.22 チクマ秀版社 キャットワンG…+/67エイッと!!/わたぐも/詩・エッセイ・イラスト
メリーゴーランドに飛び乗って 2005.1.31 チクマ秀版社 メリーゴーランドに飛び乗って/地獄草/生き人形/風車
坂口尚作品集すろををぷッ 2004.10.28 チクマ秀版社 シリーズ「坂道」−すろををぷッ−(空の下の空、かかと、不条理)/坂口尚作品集TUV 函付き版
月光シャワー 2005.5.25 チクマ秀版社 月光シャワー/進化/カノン/遠いささやき/祭の日/新世界/宝石狩/星の動く音 レジェンド・アーカイブス
3月の風は3ノット 2007.7.3 チクマ秀版社 3月の風は3ノット/夏休み/黄いろのトマト/十力の金剛石/独立祭の夜/高田くんの時計/よわむしコロ/銀河飛行/イラストファンタジィ 少年エトワール
ウルフガイ‐THE ORIGIN‐
(上)狼の紋章
2011.7.4 パンローリング ウルフガイ(「ぼくらマガジン」1970年43号〜71年6号分) 平井和正原作
マンガショップ・シリーズ
ウルフガイ‐THE ORIGIN‐
(下)狼の怨歌
2011.7.4 パンローリング ウルフガイ(「ぼくらマガジン」1971年7号〜23号分) 平井和正原作
マンガショップ・シリーズ
新装版 12色物語  2017.7.18  MOM  雪の道/蜃気楼/ブルックリン日曜日/紫の炎/ひまわり畑/朝凪/マーロのオレンジ/窓辺のふたり/遁走曲/万年筆錆びた鍵//夜の結晶  限定300部 
12色物語 創作ノート  2017.7.18  MOM  シリーズ全体構成・他   
おるごおおる  2018.5.5  MOM  シリーズ・ぶううめらぁん1話〜7話/おるごおおる  坂口尚コレクション1 
アンソロジー
ビッグマガジンbPS‐F 1970.1.1 秋田書店 メリーゴーランドに飛び乗って 「まんが王」別冊付録
ファンキーパーティ 1989.2.28 東京三世社 G・W(ゴールデンウィーク)後遺症/旅インフォメーション 超ショートショートコミック大傑作集
宮澤賢治漫画館2 1985.8.15 潮出版社 黄いろのトマト
宮澤賢治漫画館5 1996.11.1 潮出版社 十力の金剛石
ウルトラ博物館 2003.12.20 小学館 帰ってきたウルトラマン/怪獣総進撃の巻(1回分復刻) 学年別学習雑誌で見る昭和子どもクロニクル1
その他
フウムーン(1) 1981.2.24 双葉社 フウムーン(1)(TVアニメーションの再構成版/原作・手塚治虫/演出・坂口尚)オール・カラー アクションコミックス・アニメ版
フウムーン(2) 1981.4.10 双葉社 フウムーン(2)(TVアニメーションの再構成版/原作・手塚治虫/演出・坂口尚)オール・カラー アクションコミックス・アニメ版
フウムーン(1) 1981.11.29 双葉社 フウムーン(1)(TVアニメーションの再構成版/原作・手塚治虫/演出・坂口尚)モノクロ 100てんランドコミックス
フウムーン(2) 1981.11.29 双葉社 フウムーン(2)(TVアニメーションの再構成版/原作・手塚治虫/演出・坂口尚)モノクロ 100てんランドコミックス
フウムーン超百科 1981.3.15 立風書房 TVアニメーションの解説・設定資料(メカデザイン担当) 超百科シリーズ
アイソトープ・マン 1982.4.30 早川書房 チャールズ・エリック・メインの小説のカバー絵とイラスト ハヤカワ文庫SF
ウルフガイ(3) 奇想天外社版単行本未収録分 私家本
はじめての坂口尚展  2016.12.23  MOM  会期2016.12.23〜25  展覧会パンフレット 
雑誌(単行本未収録作のみ)
コミック伝説マガジン 2001.12.12 実業之日本社 ウルフガイ(狼の怨歌・最終前週と最終週の2回分)復刻 第3号

★佐々木倫子★

 1961年生。1980年、「花とゆめ」夏の増刊号の『エプロン・コンプレックス』でデビュー。当初は「佐々木規子」だった。 
 

※画像データ (左から)『食卓の魔術師』(白泉社・花とゆめコミックス・1991年26刷)、『ペパミント・スパイ(1)』(白泉社・花とゆめコミックス・1991年20刷)、『動物のお医者さん(1)』(白泉社・花とゆめコミックス・1990年10刷)、『おたんこナース(1)』(小学館・スピリッツヘルスケアコミックス・1995年初版)、『Heaven(ヘブン)?(1)』(小学館・ビッグスピリッツコミックススペシャル・2000年初版)、『月館の殺人(上)』(小学館・綾辻行人原作・2005年初版) 


 ★ささやななえ★
 1950年生。1969年、『かもめ−GULL−』(「りぼんコミック」11月号)でデビュー。1996年に「ささやななえこ」と改名したが、それ以前から描き継いでいる『凍りついた瞳』のシリーズでは旧名を使用している。
 私が最初にささやななえの名を知ったのは、まんがではなく「キネマ旬報」(1987〜88)に連載していた映画コラムであった。執筆者がまんが家と知って、いつか作品を読もうと思っていたが、機会がなかった。ずっと経って2001年にささやの
『生霊(いきすだま)』が映画化された。その原作を読み、ホラーの見せ方を心得た描き方に舌を巻いた。以後、旧作から新作までささや作品を探しては読んでいる。ささや自身は段階的に変貌を遂げたと思うが、私が短期間で読んだせいか、その作品の幅の広さに驚く。初期のタッチには、樹村みのりや竹宮恵子などに共通する味わいを感じるが、同時期にデビューしているわけだから影響を受けたというわけでもない。時代の雰囲気だったのだろう。そうした作家と同レベルの作品を描きながらの変貌は、同じところにとどまっていなかった証であろう。あるいは器用すぎたがゆえに代表作に恵まれなかったのであろうか。私が好きな短編は『帰郷−ある兵士の休日−』、長編では十年の間を置いて完結編が描かれた『真貴子』である。ホーム・コメディ『おかめはちもく』もいい。結局、ささやは人間の心の機微の表現が巧く、ごく普通の家庭の日常を描くことに長けているのかも知れない。だから、その日常を舞台に青春ものやファンタジーやホラーやコメディなど、何を描いてもリアリティがあるのだ。児童虐待のドキュメンタリーをまんが化した『凍りついた瞳』は、抑制した表現で現代の深刻な問題を見事に浮き彫りにしている。 
 

※画像データ (左から)『ダートムーアの少年』(集英社・りぼんマスコットコミックス・1973年初版)、『私の愛したおうむ』(白泉社・花とゆめコミックス・1975年初版)、『きんぽうげ』(朝日ソノラマ・サンコミックス・1977年初版)、『獄門島』(小学館・フラワーコミックス・1978年初版)、『天狗の里』(大都社・スターコミックス・1977年初版)、『天使の環』(集英社・ユーコミックスデラックス・1992年第1刷) 


 ★さそうあきら★

 1961年生。1985年、『シロイシロイナツヤネン』(「ヤングマガジン」1月3日号)でデビュー。
 さそう作品を知ったのは
『神童』の評判をどこかのまんが評で読んだときだった。ぜひ読みたいと思ったが、思い出してみると、『虫2(むしむし)タマガワ』という作品をすでに読んでいた。虫の王子が留学生として普通の家庭にやってくるといったドタバタ・コメディ調の作品ながら、ただのドタバタとは違う妙な味わいがあった。虫というのは極端だったが、さそう作品は、天才ピアニストや野性児、首狩り族にホームレス、天才ランナーや生まれついての殺人者などを主人公にして、日常世界を非日常の視点から見るといった独特の世界作りをしている。そして何よりもドラマ作りが巧い。初期には脱力系のフワフワした絵であったが、途中からぎこちなく見える線に変わった。そのぎこちなさが妙に画面に緊張感を与え、ユーモアと残酷が紙一重のタッチを生み出している。連作短編集『お気に召すまま』では、同じ人物が2話ずつ登場する。脇役で登場した人物が次の話では主役となり、その話で脇役であった人物が次の話では主役になるという連鎖である。だれの人生にもドラマがあるといった趣が見事であった。連作短編集には、富士山をモチーフにした『富士山』、写真を巡る『1+1は?』、事件シリーズの『タマキトヨヒコ君殺人事件』など、秀作が多い。短編まんがの名手が少なくなった今、貴重な存在である。 

 
※画像データ (左から)『僕が猫だった頃』(講談社・ヤンマガKCデラックス・1987年初版)、『プイプイ』(講談社・ヤングマガジン・オールカラー・コミックブック・1988年初版)、『ベンケー』(講談社・ヤンマガKCスペシャル・1988年初版)、『愛がいそがしい(1)』(小学館・ヤングサンデーコミックス・1992年2版)、『プーさん』(講談社・ワイドKCミロターマガジン・1992年初版)、『お気に召すまま(3)』(講談社・ミスターマガジンKCデラックス・1995年第1刷) 
Topic  さそうあきら所有作品リスト  ※私が持っている作品のリストです。
書名 発行年月日 出版社 収録作品 備考
僕がネコだった頃 1987.9.17 講談社 僕が猫だった頃/シロイシロイナツヤネン/雲の上は1000mb/花粉/チェリーフィッシュのいる風景/アナフサギ/ピーカン/WHITE NOISE/踏み切りの向こう側/雨ぞ降る/カッシーの月 KCデラックス
プイプイ 1988.4.25 講談社 プイプイ(vol.1〜vol.24) ヤングマガジン・オールカラー・コミックブック
ベンケー 1988.12.17 講談社 ベンケー(DASH.1〜11) ヤンマガKCスペシャル
シーソーゲーム 1989.12.17 講談社 シーソーゲーム(第1話〜最終第14話) ヤンマガKCスペシャル
愛がいそがしい 1991.5.5 小学館 オヤジの呪縛(愛1〜12) YSコミックス
愛がいそがしい 1991.12.5 小学館 静かな嵐(愛13〜25) YSコミックス
愛がいそがしい 1992.6.5 小学館 共犯の夜(愛26〜38) YSコミックス
愛がいそがしい 1992.12.5 小学館 愛がいそがしい(39〜52) YSコミックス
プーさん 1992.3.9 講談社 プーさん(1話〜18話) ワイドKCミスターマガジン
1993.8.5 小学館 花(第1話〜第12話) YSコミックス
1994.3.5 小学館 花(第13話〜第25話) YSコミックス
1994.10.5 小学館 花(第26話〜最終第38話) YSコミックス
お気に召すまま(1) 1993.8.9 講談社 お気に召すまま(vol.1〜vol.22) ミスターマガジンKCデラックス
お気に召すまま(2) 1994.4.9 講談社 お気に召すまま(vol.23〜vol.45) ミスターマガジンKCデラックス
お気に召すまま(3) 1995.1.9 講談社 お気に召すまま(vol.46〜vol.67) ミスターマガジンKCデラックス
俺たちに明日はないッス(1) 1995.1.1 小学館 俺たちに明日はないッス(1話〜9話)/SEX(1〜3) ビッグスピリッツ・コミックス・スペシャル
俺たちに明日はないッス(2) 1996.2.29 小学館 俺たちに明日はないッス2(1話〜9話)/SEX(1〜3) ビッグスピリッツ・コミックス・スペシャル
拳骨 1996.6.5 小学館 拳骨
タマキトヨヒコ君殺人事件 1996.11.14 双葉社 タマキトヨヒコ君殺人事件/ヤマシタナホコさん殺人事件/松戸連続強盗殺人事件/某高等学校殺人事件/南伊豆断崖絶壁心中事件/交響曲第6番「至高の愛」事件/鶴川連続殺人犯篭城事件/UFO研究会殺人事件/妄想狂殺人事件/クラクション殺人事件/さみしがり屋さん殺人事件/らんちう日記 アクションコミックス
虫2タマガワ(1) 1996.12.5 小学館 虫2タマガワ(1〜11) YSコミックス
虫2タマガワ(2) 1997.2.5 小学館 虫2タマガワ(12〜23) YSコミックス
虫2タマガワ(3) 1997.6.5 小学館 虫2タマガワ(24〜最終35) YSコミックス
トゥルーカラーズ 1996.12.15 ぶんか社 薄曙色/飴色/ターコイズグリーン/浅葱色/シーグリーン/ミッドナイトブルー/モーヴ/梅鼠/鳥の子色/小麦色/萌黄色/黄梔子/スカイブルー/緑青色/向日葵色/小豆色/乳白色/亜麻色/洗朱/サファイアブルー/山葵色/橙黄色/アメジスト/グリーン
神童(1) 1998.6.28 双葉社 神童(第1話〜第11話) アクションコミックス
神童(2) 1998.7.28 双葉社 神童(第12話〜第22話) アクションコミックス
神童(3) 1998.8.28 双葉社 神童(第23話〜第34話) アクションコミックス
神童(4) 1998.9.28 双葉社 神童(第35話〜第46話) アクションコミックス
1+1は? 1999.6.25 文藝春秋 1・アヤカ/2・10分間の永遠/3・じじいの眼福/4・さかさまのファインダー/5・影のメッセージ/6・よし乃教の人々/7・秋吉家バッティングセンター(前編)/8・秋吉家バッティングセンター(後編) ビンゴコミックス
黒のおねいさん 1999.11.25 文藝春秋 ねじの回転/目立たない女/静かの海で会いましょう/黒のおねいさん/酒々井米の世界・その1/酒々井米の世界・その2/QPS/電波の女/自転車の楽しみ/発熱 ビンゴコミックス
トトの世界(1) 2000.1.4 双葉社 トトの世界(第1話〜第10話) アクションコミックス
トトの世界(2) 2000.3.28 双葉社 トトの世界(第11話〜第21話) アクションコミックス
トトの世界(3) 2000.6.12 双葉社 トトの世界(第22話〜第33話) アクションコミックス
トトの世界(4) 2000.10.12 双葉社 トトの世界(第34話〜最終第46話) アクションコミックス
犬犬犬(ドッグ・ドッグ・ドッグ)(1) 2000.8.1 小学館 犬犬犬(第1話〜第8話) ビッグコミックス/原作・花村萬月
犬犬犬(ドッグ・ドッグ・ドッグ)(2) 2001.1.1 小学館 犬犬犬(第9話〜第17話) ビッグコミックス/原作・花村萬月
犬犬犬(ドッグ・ドッグ・ドッグ)(3) 2001.6.1 小学館 犬犬犬(第18話〜第26話) ビッグコミックス/原作・花村萬月
犬犬犬(ドッグ・ドッグ・ドッグ)(4) 2001.12.1 小学館 犬犬犬(第27話〜第37話) ビッグコミックス/原作・花村萬月
犬犬犬(ドッグ・ドッグ・ドッグ)(5) 2002.4.1 小学館 犬犬犬(第38話〜最終第48話) ビッグコミックス/原作・花村萬月
やまだまるもちゃん 2001.1.18 竹書房 やまだまるもちゃん バンブーコミックス
富士山 2002.2.20 小学館 第1話・中央線/第2話・樹海/第3話・乱気流/第4話・胎動(前編)/第5話・胎動(後編)/第6話・湧水/第7話・洞穴 ビッグコミックス・イッキ
トゥルー・カラーズ 2002.12.28 イースト・プレス 卯花色/亜麻色/洗朱/山葵色/小豆色/乳白色/薄曙色/蛍光色/朱色/梅鼠/小麦色/飴色/浅葱色/黄金色/鳥の子色/黄梔子/緑青色/向日葵色/萌黄色/スカイブルー/モーヴ/ターコイズグリーン/ミッドナイトブルー/アイボリー/シーグリーン/シグナルレッド/イエロー/アメジスト/グリーン/ターメリック/サファイアブルー/カナリアイエロー/ゴールド
子供の情景 2003.6.28 双葉社 子供の情景(モナミと私/僕らは柿生こども警察ダ!@〜D/バブちゃんのボタン/みち)/大人の情景(10SHORTS STORY/作家漆原奈々乃/ユーランと岩田くん) アクションコミックス
マエストロ(1) 2004.8.17 双葉社 マエストロ(第1話〜第7話) アクションコミックス
マエストロ(2) 2007.2.27 双葉社 マエストロ(第8話〜第15話) アクションコミックス
マエストロ(3) 2008.4.28 双葉社 マエストロ(第16話〜最終22話) アクションコミックス
コドモのコドモ(1) 2005.2.28 双葉社 コドモのコドモ(第1話〜第9話) アクションコミックス
コドモのコドモ(2) 2005.5.28 双葉社 コドモのコドモ(第10話〜第19話) アクションコミックス
コドモのコドモ(3) 2005.9.27 双葉社 コドモのコドモ(第20話〜最終29話) アクションコミックス
モナミちゃんねる! 2007.4.28 双葉社 プロローグ/1〜50/あとがき アクションコミックス
おくりびと 2008.9.3 小学館 第1話〜最終12話 ビッグコミックススペシャル
さよなら群青(1) 2009.9.15 新潮社 第1話・漂着/第2話・君の名は?/第3話・君に会いに/第4話・グンの処遇/第5話・初めての買い物/第6話・新しいノート/第7話・文付け/第8話・夜を照らす バンチコミックス
さよなら群青(2) 2010.1.15 新潮社 第9話・松子/第10話・バカ息子の恋/第11話・ゴンヅイ/第12話・小さな想い/第13話・知らない笑顔/第14話・ガンガゼ/第15話・まみの行方/第16話・鶴島/第17話・男と女/第18話・別れ バンチコミックス
さよなら群青(3) 2010.4.15 新潮社 第19話・誤解/第20話・海女たちの闘い/第21話・命を削る/第22話・まぼろし/第23話・すれ違い/第24話・塩ばあ/第25話・会えない二人/第26話・満天の星空で/第27話・早瀬桜へ/第28話・孤独 バンチコミックス
さよなら群青(4) 2010.9.15 新潮社 第29話・罪を映す/第30話・嵐のあと/第31話・陽の差す島に/第32話・一人前/第33話・神辺とキヨと磯貝と/第34話・夫婦/第35話・祭りが近づく夜/第36話・笛の音にのせて/第37話・海が呼ぶ/最終話・ひとかけらの世界で バンチコミックス
超マンガ大学 2010.12.30 朝日新聞出版 (収録作品)京漫画T/京漫画U/おれ、恋してるんす/立彦くんをばらばら/宇宙人の指令/じじ萌え/宝くじにあたった女/ビデオショップせせらぎ/茶側さんと田淵くん/やかん的彼氏/見えない雪子ちゃん/山田さんとナターシャ/テレパシーのふたり/ばぶちゃんに聞いて/シェアするふたり/メモリースティック/法螺貝夫婦/つぶつぶとくしゃくしゃ/アリの鉄二/さっちゃん/きりんのおかあさん/失恋の涙/私の植物図鑑/教室の音/ マンガの方法論
ミュジコフィリア(1) 2011.7.28 双葉社 第1話・京都の朝/第2話・朔の中の音/第3話・賀茂川花見エオリアンハープ/第4話・小夜のヴァイオリン/第5話・大成のタクトと小夜/第6話・「4分33秒」/第7話・未聴感と庭師/第8話・凪との出会い アクションコミックス
ミュジコフィリア(2) 2011.11.28 双葉社 第9話・音の色/第10話・7色のヴォイス/第11話・托卵/第12話・決意の朔/第13話・音楽と人の命/第14話・大成の「今」/第15話・締め切り前/第16話・あんじょう頼んます/第17話・ぼぐ蓮太郎でず アクションコミックス
ミュジコフィリア(3) 2012.3.28 双葉社 第18話・祇園祭と兄弟/第19話・三兄弟の音楽/第20話・朔のデビュー/第21話・形と音/第22話・出発点/第23話・ハラショーの「ひきだし」/第24話・初デート/第25話・世界が変わる/第26話・大好きな音 アクションコミックス
ミュジコフィリア(4)  2012.8.28  双葉社  第27話・音楽が好きなんです/第28話・音楽の中心地/第29話・即興と譜面/第30話・ホワイトノイズ/第31話・東京/第32話・砂漠の中のオアシス/第33話・凪のためになること/第34話・出過ぎた杭/第35話・「ブレインストーミング」  アクションコミックス  
ミュジコフィリア(5)  2013.1.28  双葉社  第36話・台風オーケストラ/第37話・三角の音、円形の音/第38話・音楽の仮想世界へ/第39話・羽化/第40話・DJデビュー/第41話・はとバスデート/第42話・武道館コンサート/第43話・富士山の麓で/第44話・未来/最終話・朔の音楽  アクションコミックス 
その他
映画マンガ大全集1 1988.11.17 講談社 13日の金曜日 ヤンマガKCスペシャル
早稲田漫22 1981.11.6 早稲田大学漫画研究会 異端カタリ派。/海乃家(広告)/表紙
スーパーキッド・Dr.リーチ 1999.5.15 講談社 令丈ヒロ子の小説のカバー絵とイラスト 青い鳥文庫
短篇集ヒミツキチ 2011.1.24 小学館 ぴょんやんの秘密基地 ビッグコミックススペシャル

 ★佐藤史生★

 1952年生。1977年『恋は味なもの!?』(「別冊少女コミック」)でデビュー。2010年没。
 私が初めて読んだ作品は
『打天楽』で、それが長編『ワン・ゼロ』の番外編であると知り、本編を読み、はまった。神話・伝説によるイメージを最新テクノロジーの知識を駆使して描くSF世界は、読者には極めて不親切でわかりづらいが、ようするにファンタジーとして魅惑的なのである。佐藤の作品は、宇宙や未来や異世界が舞台のことが多いが、その独特の世界に追いついていくのが心地よい。初めての読者には伝奇ミステリーといった趣を持つ『精霊王』(原案・徳永メイ)を薦めておきたい。あるいは『夢みる惑星』のような長編から入門するのもいいかも知れない。初期のSFを集めたのが『金星樹』だが、SF以外の作品を集めた『春を夢見し』や、大人びた高校生の青春を描く七生子シリーズ『死せる王女のための孔雀舞』といった作品も、今ではそういう生の描き方をしないだけに興味深い。なお、佐藤史生は「さとう・しお」と読み、名字は本名だそうだが、「砂糖・塩」のダジャレである。

 
※画像データ (左から)『金星樹』(奇想天外社・奇想天外コミックス・1979年初版)、『夢みる惑星(2)』(小学館・PFビッグコミックス・1982年初版)、『死せる王女のための孔雀舞(パヴァーヌ)』(新書館・ペーパームーンコミックス・1983年初版)、『この貧しき地上に』(新書館・ペーパームーンコミックス・1985年初版)、『阿呆船』(新書館・ペーパームーンコミックス・1984年初版)、『精霊王』(小学館・PFコミックス・1989年初版) 

★佐藤まさあき★ 
 1937年生。1955年『最後の流星投げ』(日の丸文庫)でデビュー。2004年没。
 佐藤作品は、貸本でよく読んでいた。といっても、さいとう・たかを、ありかわ栄一(園田光慶)、南波健二、江波譲二といったアクション劇画を描いている作家を読んでいたのと同じように読んでいたという意味であって、とくに佐藤作品だけのファンであったわけではない。ただ、子供心には、当時「さいとうプロ」を持つさいとうと並んで、「佐藤プロ」から自作などを刊行していた佐藤に対して、単純に大物作家というイメージを持っていたかも知れない。強いていえば、佐藤作品は初期の頃から絵にもストーリーにも独特な「暗さ」を持っていた。どこか怨念の影がつきまとっているのは、私劇画集
『夕映えの丘に』に描かれた体験に因るのかも知れない。それもあってか、通俗三流劇画に陥りそうなエロ絡みのピカレスク・ロマンを、強烈な作家性で救っていたと思う。他作家との違いは歴然であった。佐藤の代表作には『黒い傷痕の男』『野望』『影男シリーズ』『堕靡泥の星』があるが、じつは私はどの作品もまだすべてを読んでいない。佐藤プロから「劇画叢書」「劇画選集」「劇画自選集」など何度も形を変えて出版されていたにも関わらず、そこまでは熱中していなかった。私が一番よく読んでいたのは『影男』を「プレイコミック」に連載していた頃だった。しかし、何といっても面白いのは自伝『「劇画の星」をめざして』に書かれた佐藤自身の人生である。これを読んで佐藤作品への興味も倍増した。今後、きちんと読みたい作家のひとりである。 
 

※画像データ (左から)『あばれ街道』(佐藤プロ・日本無頼帖第6話・刊行年不明)、『マーちんのわんぱく日記』(佐藤プロ・刊行年不明)、『誘拐』(佐藤プロ・社会派シリーズ1・1963年刊)、『鳥人来襲す』(佐藤プロ・日本秘密捜査官R−M1シリーズ11・1966年刊)、『Zと呼ばれる男』(小学館・ゴールデンコミックス・1968年初版)、『劇画・大久保清・姦殺(下)』(佐藤プロ出版部・1983年3版)

Topic   『日本拳銃無宿・影男』シリーズの単行本 
 

★篠原とおる★ 

 1936年生。1958年、『蝋面博士』(童心社)でデビュー。 
 

※画像データ (左から)『それ行け!錠』(東京トップ社・篠原とおるダイヤモンド劇場B・1966年刊)、『嵐に起て!』(東京トップ社・篠原とおるダイヤモンド劇場K・1967年刊)、『白い挑戦』(東京トップ社・篠原とおるダイヤモンド劇場L・1967年刊)、『現代牝犬物語』(大都社・ハードコミックス・1973年初版)、『食中花』(双葉社・アクションコミックス・1977年8版)、『キャッツアイ(1)』(双葉社・アクションコミックス・1982年初版) 


 ★島田啓三★
 1900年生。1973年没。 
 
※画像データ (左から)『ぼうけんダン吉』(集英社「幼年ブック」1957年1月号付録)、『ネコ七先生<重役の巻>』(富士見出版社・1956年刊・戦前刊行した本を選集として再刊)、『たんていだんちゃん』(小学館「小学一年生」1958年9月王付録)、『ぽこのおまわりさん』(講談社「たのしい一年生」1958年1月号付録)、『がんちゃんのぼうけん』(講談社「たのしい三年生」1957年3月号付録)、『びっくりたんけんたい』(小学館「小学三年生」1958年1月号付録) 

★清水玲子★

 1963年生。1983年、「LaLa」に『三叉路物語』を描いてデビュー。 
 
※画像データ (左から)『ノアの宇宙船』(白泉社・花とゆめコミックス・1986年6刷)、『竜の眠る星(1)』(白泉社・花とゆめコミックス・1987年初版)、『月の子(10)』(白泉社・花とゆめコミックス・1992年初版)、『夢のつづき』(白泉社・花とゆめコミックス・1989年初版)、『輝夜姫(1)』(白泉社・花とゆめコミックス・1994年初版)、『秘密−トップ・シークレット−(1)』(白泉社・ジェッツコミックス・2002年第3刷) 

★下元克巳★ 

 1941年生。1960年、めばえ書房で短編を描いてデビュー。当初は本名の「下元勝巳」という名を使っていた。
 下元の魅力は何といっても人物や動物の絵である。ディズニー・アニメに出てくる動物たちのように、動きの表現が細かくなめらかに感じる。見ていて気持ちがいい。また、背景や時間経過を表わす自然描写なども牧歌的な表現が目立つ。かなりアニメ志向のあった人なのではないかと思う。貸本アンソロジー誌「青春」「ヤング・ビート」などに短編作品を中心に発表しており寡作のイメージがある。1968年に
『快男児ゴリ一平』を「少年マガジン」に連載して雑誌デビューをする。また「月刊少年マガジン」に『ゴキブリ』(単行本収録時に『ゴキブリ野郎』と改題)、『へちゃむくれ』、「少年キング」に『トリプルパンチ』を連載する。ゴリ一平は貸本時代の『青春群像』シリーズでもほぼ主役といえるキャラクターであり、ゴキブリもそのキャラを見つけることができる。また『孤独の狼』は、『青春群像』シリーズの一編を長編化した作品であり、ストーリーのパターンはあまり持っていない作家であった。わりとすぐに雑誌から名前を消すのは、連載のペースについていけなかったからだと思う。じっくりとアニメチックな動物が活躍する作品でも描いて欲しかった作家である。 

 
※画像データ (左から)『ノックダウン(打倒)』(東考社・ホームラン文庫・刊行年不明−1964年頃か?)、『スピードに賭ける』(東考堂ホームラン文庫・1964年刊)、『孤独の狼』(東京トップ社・刊行年不明)、『かっこいい奴』(東考社・刊行年不明)、『憎めぬ奴ら』(東考社・ホームランコミックス・刊行年不明)、『番長一匹』(ヒロ書房・ベストコミック・1969年初版) 

 ★ジョージ秋山★
 1948年生。1965年『いじわるE』(「別冊少年マガジン」)でデビュー。それ以前に本名の秋山勇二名義の作品がある。
 私はたまたま『いじわるE』や
『ガイコツくん』『パットマンX』といった作品からジョージ秋山を読む機会を得ていた。初期の作品は、秋山がアシスタントをしていた師の森田拳次のギャグまんがに似ているようではあったが、どこかブラックな味わいがあった。作品の根底にあるのは、力なき個人に対する社会の残酷性であり、社会的規範から外れた残酷な人間性である。それは『ざんこくベビー』『アマゾンくん』『ゴミムシくん』などでくどいほどにギャグへと昇華されていったが、笑えない苦みを持つ作品として『デロリンマン』が心に残る。一方で、明るいホラ話に徹した『ほらふきドンドン』は楽しい作品であった。が、ドンドン和尚でさえ、笑い飛ばせない影が見えたのである。こうしたテーマは『銭ゲバ』『アシュラ』で直截的に表現されたが、その傾向は今にいたるまで続いている。だが一方で前向きに社会に生きる個人を描いていこうとする作品も並行して描かれており、少年まんがでは『よたろう』(のちに『花のよたろう』に改題)、青年まんがでは『浮浪雲』がそれに当たる。『浮浪雲』は初期には「必殺仕掛人」のようなストーリーであったが、徐々に憂き世の処世まんがの趣に変わり、長く続いている。その途中で、私はジョージ秋山作品をあまり読まなくなってしまった。 
 

※画像データ (左から)『ガイコツくん』(若木書房・コミックメイト・1974年5刷)、『パットマンX(1)』(若木書房・コミックメイト・1968年初版)、『黒ひげ探偵長』(集英社・ジャンプコミックス・1970年初版)、『ゴミムシくん(1)』(秋田書店・チャンピオンコミックス・1974年6版)、『ほらふきドンドン(1)』(講談社・KC・1975年2版)、『ねこまんまのジョージ』(双葉社・パワァコミックス・1975年初版) 


 ★白土三平★

 1932年生。1957年『こがらし剣士』(巴出版)でデビュー。別名を使った作品もあるらしいが、詳細は不明。
 白土三平作品で最初に強いインパクトを受けたのは何といっても
『忍者武芸帳・影丸伝』だった。すでに「少年」に『サスケ』は連載していたし、他の作品も読んでいたが、この本を貸本で借りて、白土の名が私の胸に刻まれたのだ。借りたのは1963年で、私は横山光輝の『伊賀の影丸』に熱中しているときだった。主人公の名が「影丸」なのは嫌だったし、影一族というネーミングも横山の「闇一族」に似ていた。おまけに顔は闇一族の「岩風」の顔だった。しかし、影一族のメンバーの生い立ちのエピソードやラストの無常観には畏れ入ってしまった。『カムイ伝』は今までに3度読み直している(第二部は2度)が、話が広がりすぎて、どうも頭がついていかない。その点『カムイ外伝』はわかりやすく、好きである。昔のシリーズも簡潔でよかったし、「ビッグコミック」版も深みがあってよい。『スガル』も『カムイ外伝』の話としてリメイクされたが、元々は『忍法秘話』のエピソードであった。私は『忍者旋風』(含『風魔』『真田剣流』)などよりは、『忍法秘話』などの短篇が好きである。『狼小僧』とか『死神少年キム』といった異色作も好きだが、少年向けの長編では『ワタリ』が一番気に入っている。この作品への好評価というのは聞かないが、ミステリーと時代劇のクロスオーバーとして、よくできた作品だと思う。

 
※画像データ (左から)『忍者武芸帳・影丸伝(4)』(小学館・復刻版・1972年再版)、『忍者旋風・風魔忍風伝(2)』(東邦漫画出版社・1959年刊)、『サスケ(13)』(青林堂・1964年刊)、『カムイ外伝/飯綱落しの巻』(虫プロ・COM名作コミックス・1972年刊)、『ワタリ』(「少年マガジン」1965年18号連載開始時の扉絵)、『スガル』(主婦の友社・ロマンコミック自選全集・1978年初版) 

★白山宣之★

 1952年生。1974年、「ガロ」の『ライオン』でデビュー。2012年没。 
 
※画像データ (左から)『麦青(1)』(山本おさむとの合作・双葉社・アクションコミックス・1986年第1刷)、『少年塔』(マガジンハウス・マグコミックス・1995年初版)、『10月のプラネタリウム』(マガジンハウス・マグコミックス・1997年初版)、『ハメット短編全集1・フェアウェルの殺人』(表紙のみ担当・ダシール・ハメット・稲葉明雄訳・東京創元社・創元推理文庫・1987年17版)、『チャンドラー短編全集1・赤い風』(表紙のみ担当・レイモンド・チャンドラー・稲葉明雄訳・東京創元社・創元推理文庫・1991年45版)、『地上の記憶』(双葉社・アクションコミックス・2013年第1刷) 

★士郎正宗★ 
 1961年生。大阪芸術大学の学生時代から同人誌を刊行していたが、プロとしてのデビュー作は1985年の『アップルシード』(青心社)である。 
 
※画像データ (左から)『攻殻機動隊』(講談社・1996年第11刷)、『アップルシード(4)』(青心社・1989年初版)、『ブラックマジック』(青心社・1986年5版)、『仙術超攻殻オリオン』(青心社・1992年再版)、『ドミニオン』(青心社・1994年5版)、『攻殻機動隊(2)』(講談社・2001年第1刷) 

 ★杉浦茂★

 1908年生。1932年、「東京朝日新聞」に『どうも近ごろ物騒でいけねえ』という一コマまんがを描いてデビューしているが、雑誌デビューは翌年の『クロ子のお使』(「少女倶楽部」)である。2000年没。
 私が物心ついたときには、すでに杉浦茂作品を雑誌で見る機会はほとんどなくなっていた。年表で見ると、ポツリポツリと掲載されているのだが、少なくとも絶頂期の作品をリアルタイムでは読んでいない。ただ、貸本でずいぶん借りて読んだ。おそらく集英社の「おもしろ漫画文庫」や「杉浦茂傑作漫画全集」のシリーズだったはずである。貸本屋で金額合わせのために何かもう一冊借りようというときは、杉浦作品や前谷惟光『ロボット』シリーズ、山根赤鬼『よたろうくん』、山根一二三『ごろっぺ』などをよく借りていた。それらは前に借りたことがあったとしても、また楽しめるからである。とくに杉浦作品はユニークな絵とセリフ使いの面白さで、何度でも楽しめるからくり玉のようなまんがだった。じつは私は
『少年児雷也』『猿飛佐助』『弾丸トミー』『少年西遊記』『0人間』も区別はしていなかった。杉浦茂の作品は杉浦まんがというひとつのジャンルなのである。 

 

※画像データ (左から)『拳斗けん太』(「おもしろブック」1955年9月号付録)、『少年西遊記』(「おもしろブック」1956年4月号付録)、『少年児雷也』(「少年」)、『ドロンちび丸』(虫プロ・虫コミックス・1971年初版)、『キャプテン小僧・円盤Z』(名著刊行会・初版復刻日本名作漫画館SF篇第2部C・1981年刊)、『南海キッド』(国書刊行会・付録漫画傑作選・復刻版・1985年刊)


★鈴木翁二★ 

 1949年生。1969年、「ガロ」に『庄助あたりで』を発表してデビュー。 
 

※画像データ (左から)『透明通信』(青林堂・1985年初版)、『麦畑野原』(而立書房・1988第2刷)、『海のタッチ』(ワイズ出版・1999年初版)、『東京グッドバイ』(北冬書房・2000年2刷)、『オートバイ少女』(筑摩書房・2001年2刷)、『海的煌煌』(青林工藝舎・2001年初版) 


★鈴木雅子★ 
 1954年生。1972年、「週刊セブンティーン」に『ジュネの肖像』を発表してデビュー。 
 

※画像データ (左から)『帰りこぬ風(2)』(集英社・セブンティーンコミックス・1976年初版)、『王子さまはだぁ〜れ!?』(集英社・セブンティーンコミックス・1978年3版)、『こな雪数雪ぼたん雪』(集英社・セブンティーンコミックス・1982年初版)、『メリー・カップル(1)』(集英社・セブンティーンコミックス・1979年初版)、『魔法のノアール』(集英社・セブンティーンコミックス・1987年初版)、『ティータイム』(集英社・マーガレットコミックス・1990年第1刷) 


 ★関谷ひさし★

 1928年生。北九州新聞社の社員であった当時から新聞に四コマまんがなどを掲載。1954年、『少年太閤記』(学研)の単行本を刊行し、『少年ニッポン』(「冒険王」)などの連載を持つようになる。1957年に上京し、本格的なまんが家生活に入る。2008年没。
 私はとにかく
『ストップ!にいちゃん』の大ファンであった。五中のスーパーマンと呼ばれる南郷勇一の活躍は楽しく、弟・賢二や隣のサチコ、それに柏鵬堂といったキャラクターとの掛け合いが愉快だった。関谷作品で思い出すのは、秋田書店の「マンガのかきかた」に参考作品として『遊星bP』というSFまんがが載っていたことである。当時、ずいぶん意外に思ったものだが、『ストップ!にいちゃん』以前は、シリアスなSFや時代劇が多いようだ。最初の大ヒット作は『ジャジャ馬くん』で、完全収録版が刊行されておらず私は全貌を知らないが、これもシリアス・タッチであった。その主人公・天馬竜平が老人となっている『ジャジャ馬球団』は一転してコメディで、私好みに変わっている。関谷はレース好きらしく、そういうジャンルの作品も多いがシリアスな『少年bP』よりはコミカルな『イナズマ野郎』のほうが私は好きである。『ばんざい探偵長』にもレース・シーンが出てくる。また関谷には『ケンとすてきな仲間』『おはようケン』など犬の登場する作品も多いが、『火星犬サンダー』が単行本化されていないのは残念である。子供の頃読んでいた作品では『キャプテン8』という海洋まんがも単行本化されていない。少女物には『リリーフサッちゃん』『スーパーおじょうさん』などがある。 

 

※画像データ (左から)『ジャジャ馬くん(1)』(秋田書店・『翔けろ天馬(4)』(東邦図書出版社・1963年頃刊)、『われは海の子』(きんらん社・刊行年不明)、『イナズマ野郎』(虫プロ・虫コミックス・1969年初版)、『スーパーおじょうさん』(朝日ソノラマ・サンコミックス・1970年初版)、『ばんざい探偵長』(朝日ソノラマ・サンコミックス・1969年初版) 

Topic  『ストップ!にいちゃん』の単行本 
 

★セツコ・山田★ 
 1942年生。1960年、『こねこあげます』という短編でデビュー。貸本時代は「山田節子」であった。さいとう・たかをの前妻であり、『ゴルゴさんち』や『一丁目のトラ吉』には、さいとうをモデルにした夫が登場する。 
 
※画像データ (左から)『アコ行状記(1)ラーメンいっちょ!』(さいとうプロ・1967年頃刊)、『アコ行状記(6)おとうさんアコです!后編』(さいとうプロ・1968年頃刊)、『ゴルゴさんち』(小学館・1983年初版)、『セツコ・山田の猫三昧』(ペットライフ社・1999年第2刷)、『猫語辞典(1)』(リイド社・1997年刊)、『一丁目のトラ吉(1)』(リイド社・1997年刊) 

★惣領冬実★ 
 1959年生。1982年、「別冊少女コミック」4月号の『陽だまりの訪問者』でデビュー。 
※画像データ (左から)『惣領冬実傑作集1・ローズティーではじまる』(小学館・1986年第1刷)、『ボーイフレンド(6)』(小学館・1987年第1刷)、『DOLL』(講談社・1996年第1刷)、『惣領冬実傑作短編集・太陽のイヂワル』(講談社・2002年第1刷)、『ES(4)』(講談社・2003年第1刷)、『タマラ』(2004年第1刷) 

 ★園田光慶★

 1940年生。1958年、短編集『死剣幽四郎』(日の丸文庫)でデビュー。貸本時代はありかわ・栄一」名義で多くの作品を発表していたが、貸本時代の末期「ありかわ・栄一改め園田光慶」と表記されていたのを覚えている。1997年没。
 貸本のアクション劇画を描いていた作家たちの中で、私にはさいとう・たかをの作品が一番完成度が高く思えたが、恰好いい絵ということに限っては断然ありかわ・栄一であった。他の作家にはどこかしら野暮ったさを感じる部分があるのだが、ありかわの絵には野暮のかけらも感じなかった。アクション・シーンの描き方は独特で、人物のポーズや効果の技法など、真似して描いていたまんが家予備軍が多いのではないだろうか。貸本にはハードボイルド・シリーズと銘打った全26巻のシリーズがあるが、その中の
『挑戦資格』(全9巻)が私の最も好きな作品である。今読み返すと、アフリカを舞台に世界征服を企むルムンバ団と戦うというストーリーはかなりいい加減なのだが、主人公・早乙女豪が右腕を失い、鉤爪のような腕になってしまうのは子供心にショックだった。他にも『アイアン・マッスル』『カメレオン・ケン』などのシリーズがあり、豊富なキャラクターも魅力だった。その中で私が好きだったのは盲目の殺し屋『完全紳士』である(同タイトルの作品には登場しない)。園田となり、雑誌に進出してからも巧さは光っていたが、私には何となく園田の絵から尖った魅力が失われたような気がしていた。雑誌時代の代表作ともいえる『赤き血のイレブン』(原作・梶原一騎)は、題材的に興味がなくて読んでいない。 

 
※画像データ (左から)『挑戦資格(完結編)』(東京トップ社・ハードボイルドシリーズ26・1963年刊)、『完全紳士』(東京トップ社・刊行年不明)、『アイアン・マッスル』(朝日ソノラマ・サンコミックス・1969年初版)、『あかつき戦闘隊(1)』(若木書房・コミックメイト・1977年9刷)、『ターゲット(1)』(若木書房・コミックメイト・1970年初版)、『ザ・ゴリラ7(1)』(KKベストブック社・1975年初版) 

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