ごろねこ倶楽部/まんがの部屋/た行の作家

 ★高口里純★
 1957年生。1977年、「花とゆめ」の新人漫画賞に『赤いシャッポ』が入選してデビュー。 
 
※画像データ (左から)『赤鼻のアズナブル』(朝日ソノラマ・サンコミックスストロベリーシリーズ・1984年初版)、『ローマで夜だった』(朝日ソノラマ・デュオセレクション・1985年初版)、『伯爵と呼ばれた男(3)』(白泉社・花とゆめコミックス・1986年第1刷)、『花のあすか組!(1) 』(角川書店・あすかコミックス・1987年初版)、『赤いドレスの男』(講談社・モーニングKC・1990年第1刷)、『黒/ニグレード(1)』(角川書店・あすかコミックス・1996年初版)

 ★高寺彰彦★

 1960年生。1981年、『FOGGY・GOBLIN』(「マンガ奇想天外」bS)でデビュー。2019年没。
 高寺彰彦のまんが作品の単行本は今のところ下の
6冊しか出ていない(『悪霊』『ナムチ』『サルタン防衛隊』など他社版がある本はある)が、私が最初に読んだのは『悪霊』だった。それ以前に短編ぐらいは読んだことがあったかも知れないが、覚えていない。『悪霊』は作者渾身の一作と思えたが、こうした作品を時折発見することがある。たとえば、今敏『海帰線』、数浜哲巳『眉引きの鉄』、小田ひで次『拡散』、巴啓祐『神の獣』など、ごく寡作の作家の作品である。これらはみな読み応えのある力作で、『悪霊』もそんな1冊だった。だが、私が『悪霊』を読んだ時点で高寺の単行本は出揃っており、それほど寡作の作家ではないようにも見えた。高寺が大友克洋のアシスタント出身の作家だということも知り、ますます期待も高まったが、『かちかちやま』以後の新刊は刊行されていない。まんが作品以外の何かで活躍しているのだと思うが、残念である。初期作品の雰囲気には大友克洋タッチが窺えるが、絵は決して似ているわけではない。とくに『ナムチ』あたりから、ゲームとお伽話をミックスさせた独特のファンタジー世界を作り出した。その延長線上にある『かちかちやま』が、私の一番好きな作品である。狸や兎をそのまま登場させながら、『七人の侍』ばりのシリアスで感動的なストーリーに変換する腕前は並々のものではない。 

 

※画像データ (左から)『サルタン防衛隊』(講談社・ヤンマガKCスペシャル・1984年初版)、『GORGON BOX』(シャピオ・みき書房・1986年初版)、『臥竜解封録ナムチ』(アスキーコミックス・1993年初版)、『悪霊』(同文書院・DOBUN COMIC・1995年初版)、『トラブル・バスター』(同文書院・DOBUN COMIC・1996年初版)、『かちかちやま』(講談社・KCDX・1996年初版) 


★高野文子★ 

 1957年生。1977年、『花』(「楽書館」bS9)でデビュー。
 私が初めて読んだ高野作品は、多分
『田辺のつる』だったと思う。「漫金超」創刊号に掲載されていたこの作品は、「きいちのぬりえ」を意識した絵と、主人公の主観描写という方法が、痴呆老人の意識という主題にふさわしく、その巧さに驚いた。その後、ずいぶん経ってから、初めて買った単行本が『棒がいっぽん』だった。収録された短編は、どれもとてつもなく素晴らしい。各作ごとに新たな表現技法を作り出すまんが家が、他にどれだけいるだろうか。小説でもなく映画でもなく、まんがにしかできない表現の可能性というのを、作者も読者も忘れがちの現在、ここまで「まんが表現」を追求する作家がいてくれることは頼もしい。とくに好きなのは『美しき町』『奥村さんのお茄子』だが、後者は「ユリイカ」に初出版が再録されたのと比較してみると面白い。あるとき、何気なく手にした雑誌「アフタヌーン」に高野の新作が載っているのに気づいた。私はほとんど雑誌は買わない主義なのだが、これは購入。そこに掲載されていた『黄色い本』は、傑作だった。青春期に好きな本と出会い、その世界に没入し、卒業するようにその本と別れていくといった感覚が見事に描かれていた。懐かしく、自分の経験がまんがの主人公の心情に重なって甦ってきた。こうした作品をそうそう描くことができないのはわかるが、もっともっと新作を発表してもらいたい作家である。

 
※画像データ (左から)『絶対安全剃刀』(白泉社・1998年28刷)、『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』(小学館・プチフラワーコミックス・セレクト版・1987年初版)、『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』(マガジンハウス・MあGコミックス・1998第1刷)、『るきさん』(筑摩書房・1993年初版)、『棒がいっぽん』(マガジンハウス・マグコミックス・1995年2刷)、『黄色い本』(講談社・アフタヌーンKCデラックス・2002年初版) 

 ★高野よしてる★

 1924年生。カストリ誌の編集長を経て、1951年『ホクロちゃん』(「少女」)でデビュー。1970年に断筆して転業する。2008年没。
 私はリアルタイムでまともに高野作品を読んでいない。
『13号発進せよ』は私が「少年マガジン」を読み始める前に連載を終えていた。当時、バックナンバーで少し読んだが、話の展開はよくわからなかった。また、泉ゆき雄の『赤ん坊帝国』に「原作・高野よしてる」と表記されており、過去に高野が描いた『赤ん坊帝国』が存在することを知ったが、読む機会はなかった。『木刀くん』の単行本は一、二冊貸本屋で借りて読んだと思うが、全巻は揃っていなかった。「少年」の別冊付録で高垣眸原作の『怪傑黒頭巾』を読んだことはあったが、『とびだせ鉄平』は連載していたことも知らなかった。しかし、私にはなぜか高野よしてるというまんが家が、巧い作家として記憶されていた。それは高野を意識して作中にも登場させていた手塚治虫の影響だと思う。福井英一にしろ高野よしてるにしろ、手塚がライバル視していた作家を頭から凄い作家だろうと思い込んでいたのである。ところがリアルタイムで読んだはずの『俺はやるぞ』『地獄剣』といった作品を覚えていないのは、なぜなのだろうか。その後、若干の古い作品を入手し、また、『赤ん坊帝国』『とびだせ鉄平』『13号発進せよ』などは復刻版で読むことができた。絵は、幼い頃の私の好みではないが、確かに巧い。しかし、感心するのは何といっても構図の取り方である。デビュー作『ホクロちゃん』の頃から抜群に巧い。一コマのアングルはもちろん、そのコマの続け方は、手塚以上に映画的である。こうした自在にアングルを移動させる手法は、一時期まんがのパターン化が進んだときに廃れてしまったのかも知れない。下の『木刀くん』『黒帯くん』の画像を見れば、その一端をわかってもらえると思う。 

 

※画像データ (左から)『ホクロちゃん・友情のバレーボール』(光文社・「少女」1954年7月号付録・同時収録・小野寺秋風「探偵タン子ちゃん・どくろ島の秘密」)、『木刀くん』(秋田書店・「冒険王」1959年新年号付録)、『黒帯くん』(集英社・「おもしろブック」1957年2月号付録)、『とびだせ鉄平(3)』(アップルBOXクリエート・2004年刊)、『夢見る少年』(東邦図書出版社・1964年刊)、『13号発進せよ(下)』(アップルBOXクリエート・2000年刊) 


 ★高橋葉介★

 1956年生。1977年、『江帆波博士の診察室』(「マンガ少年」8月号)でデビュー。
 昔、私が同人誌を作っていた1972年に、一度作品を描いてもらったことがあった。面識はなかったが、その縁もあって、デビューから数年間は単行本が出るたびに買って読んでいた。今でも買って読むことがある。独特のペン・タッチで描く怪奇とユーモアを融合させたショート・ストーリーは、デビュー作に「ヨウスケの奇妙な世界」と銘打たれていたようにまさしく「奇妙」な味わいを持っていた。ホラーとしては怖くなく、ギャグとしては笑えないのだが、その「奇妙な世界」は何が飛び出すかわからない玩具箱のような楽しさに溢れている。あまりにマニアックなポジションに留まりすぎている気もするが、30年以上もポジションを失わないことを讃えるべきであろう。
 

 

※画像データ (左から)『ヨウスケの奇妙な世界PARTU・仮面少年』(朝日ソノラマ・サンコミックス・1979年初版)、『夢幻紳士(1)冒険編』(徳間書店・アニメージュコミックス・1984年2刷)、『猟鬼博士』(朝日ソノラマ・ハロウィン少女コミック館・1995年初版)、『学校怪談(1)』(秋田書店・少年チャンピオンコミックス・1995年初版)、『手つなぎ鬼』(ぶんか社・ホラーミステリーシリーズ・2000年初版)、『ここに愛の手を』(宙出版・2008年初版) 


★高橋留美子★ 
 1957年生。1978年、『勝手なやつら』が第2回小学館新人コミック大賞に佳作入選し、「週刊少年サンデー」誌上でデビュー。 
 
※画像データ (左から)『うる星やつら(3)』(小学館・1980年第1刷)、『めぞん一刻(3)』(小学館・1983年第1刷)、『人魚の森』(小学館・1988年第1刷)、『1ポンドの福音(2)』(小学館・1990年第1刷)、『Pの悲劇』(小学館・1994年第1刷)、『犬夜叉(1)』(小学館・1997年第1刷)

 ★高山和雅★

 生年不詳。1980年もしくはその前に「ガロ」でデビュー。デビュー作が何かは不明。単行本収録作で初出表記があるもののうち、一番古い作品は『パラノイア・トラップ』収録の『落差』(1980年1月号)である。
 私が最初に読んだ高山作品は
『ノアの末裔』で、以後、単行本のみ刊行順に読んでいる。『ノアの末裔』は未完成ながら時空を超えた壮大なSF作品である。「ガロ」に不定期連載していたものを訂正加筆してまとめた1冊ということで、イメージを優先しているようだが、本格的なSFエンターテインメントが「ガロ」に掲載されたことが私には驚きである。それでも「ガロ」という掲載誌の性格上、独善的な面も多い。しかし、エンターテインメントに徹した『奇相天覚』『電夢時空』『電夢時空2RUNNER』は、それぞれに力作であり傑作であると思う(『電夢時空2RUNNER』は『電夢時空』の続編ではなく別の話)。アイデアといい構成といい、丁寧に描き込まれた絵といい、文句なしに楽しませてくれる。それにしては認知度が低すぎる作家だと思う。寡作のせいだろうか。強いていえばキャラクターの魅力に欠ける気もするが、そこも含めて高山作品の個性だと私は思う。作品発表が途絶えているのが、作家自身の理由によるものなのかそれ以外の理由によるものなのかは知らないが、ぜひとも新作を読みたい作家である。と思っていたところ、2005年、「ビッグコミック」の第55回新人コミック大賞で「高山和雄」として『インスティゲイター−教唆者−』が佳作入選していた。このチャレンジ精神を讃えるとともに、今後の活動に期待したい。なお、下に挙げた単行本が、長らく高山の単行本のすべてであった(他に未収録作はあるらしい)が、2014年に久々に『天国の魚(パラダイス・フィッシュ)』を上梓した。 

 
※画像データ (左から)『ノアの末裔』(青林堂・1986年初版)、『パラノイア・トラップ』(青林堂・1986年初版)、『奇相天覚(上)』(講談社・モーニングKCDX・1991年初版)、『奇相天覚(下)』(講談社・モーニングKCDX・1991年初版)『電夢時空』(講談社・アフタヌーンKCDX・1995年初版)、『電夢時空2RUNNER』(講談社・アフタヌーンKCDX・1999年初版)

 ★滝田ゆう★
 1932年生。田河水泡に師事し、1955年、「漫画少年」夏の増刊号に「滝田まん平」名義でクイズまんがを描いてデビュー。初期は「滝田ひろし」名で作品を発表していた。1990年没。
 ついこの間までTVで独特な風貌を見せていたように思ったが、滝田が故人となってもうずいぶんと経った。子供の頃、貸本屋に滝田の作品はかなり多く置いてあったが、正直なところ、さほど興味を惹かれなかった。大人まんがにしては読みやすい面白さを持っていたが、児童まんがではなかった。対象読者はどのへんの年齢だったのだろうか。その中では、
『カックン親父』の印象が強く、「……」といった無言のセリフで代表されるように独特の間合いとリズムは、大好きとはいえないにせよ、一度読めば忘れられなかった。滝田は1967年から「ガロ」に作品を発表するようになり、新境地を開拓したといわれている。私も『寺島町奇譚』を断片的に「ガロ」誌上で読んで、滝田作品を再認識したのだった。きちんと通して読んだのは、講談社文庫版全3巻が刊行されたときである。戦前・戦中の玉ノ井界隈の下町風情を、作者自身がモデルと思しきキヨシ少年の目を通して描いたこの作品は、まんが史に残る名作であるのみならず、歴史的資料としても貴重に思われる。物語は、東京大空襲で玉ノ井が焼け野原となったところで終わる。ラストは、疎開することになったキヨシ少年が空襲ではぐれた飼猫のタマに向けて、自宅跡に立てた移転先を告げる立札のアップである。このほろ苦いユーモアには笑いつつ涙せずにはいられない。私が好きなのは、落語をまんが化した『滝田ゆう落語劇場』や、小説をまんが化した『滝田ゆう名作劇場』だが、とくに野坂昭如作品12編をまんが化した『怨歌劇場』は、それぞれ簡潔にエッセンスをまとめていて感心した。高畑勲のアニメーションで有名な『火垂るの墓』は、アニメと比べてみると面白いかも知れない。エッセイまんがというジャンルも今では軽い楽屋オチ風まんがとして定着しているが、その先駆けとなった滝田の『泥鰌庵閑話』は、随筆文学に十分に対抗し得る味わい深さを持っている。 
 
※画像データ (左から)『カックン親父(3)』(東京漫画出版社・1959年刊)、『おお珍友』(東京トップ社・刊行年不明)、『ダンマリ貫太』(東京トップ社・爆笑シリーズ第1話・刊行年不明)、『ガバチョン紳士』(東京漫画出版社・刊行年不明)、『寺島町奇譚』(青林堂・青林傑作シリーズ(3)・1980年改訂版)、『怨歌劇場』(講談社・原作:野坂昭如・1980年初版) 

★武内つなよし★ 

 1922年生。1987年没。「武内綱義・吉中一郎・中一夫」名義の作品もある。 
 
※画像データ (左から)『少年ジェット(1)』(アース出版局・漫画名作館・1991年初版)、『赤胴鈴之助(8)』(少年画報社・ヒットコミックス・1971年刊)、『ひよどり天兵』(秋田書店「冒険王」1956年8月号付録)、『東京パトロール』(秋田書店「冒険王」1960年2月号付録)、『平原児サブ』(少年画報社「少年画報」1961年10月号付録)、『コンドル・キング(完全版)飛翔編(1)怪物グロの巻』(マンガショップ・2009年初版) 

★竹宮惠子★ 
 1950年生。1967年、「COM」の月例新人賞に『ここのつの友情』が佳作入選。下の単行本所収の『ここのつの友情』はそれを後にリメイクした作品である。1968年、「週刊マーガレット」正月増刊号の『りんごの罪』でデビューする。1980年頃から、「恵子」の表記を「惠子」に変えている。 
 
※画像データ (左から)『空がすき!(1)』(小学館・1974年初版)、『ここのつの友情』(小学館・1977年第1刷)、『変奏曲(2)』(朝日ソノラマ・1980年初版)、『アンドロメダ・ストーリーズ(1)』(朝日ソノラマ・1983年初版)、『地球(テラ)へ』(中央公論社・1991年初版)、『銀河少年』(新書館・1987年初版) 

★忠津陽子★ 
 1949年生。1967年、「別冊マーガレット」のまんがスクールに『夏の日のコーラ』が入選してデビュー。十数年の休業を経て、現在はマイ・ペースで活動している。デビューと同じ年に「COM」の課題まんが『星とイモムシ』に入選していた。掲載されたのは一ページであったが、その可愛らしい絵はよく覚えている。少女まんがの絵の中では私が一番好きな絵であった。『とびだせ!お嬢さん』『ミリーただいま参上!』など初期には頬がプクリとふくらんだ少女の顔を描いていたが、『ハロー!王子さま』の頃にはバランスのよい顔を描いている。とくにラブ・コメディが得意で、当時、私はさすがに連載物はあまり読んでいなかったが、読み切り短篇が楽しめた。唯一、当時買った長編は『美人はいかが?』で、TVドラマ化され、奈良富士子が主演をしていた。『ロザリンドの肖像』はホラーに挑戦した作品。また『三月の庭から』のようなシリアスな作品も次第に描くようになったが、『恋のフーガ』『どちらが恋のおじゃま虫』などラブ・コメを描き続けた作家といえる。長いこと休業していたが、休業明けの作品集には1996年刊行の『冬恋物語』がある。主人公たちの年齢は高くなったものの、昔のラブ・コメ風の雰囲気を残しているのが嬉しい。その後、またしばらく作品を発表していなかったが、ハーレクインコミックスでジェシカ・スティール原作の『フィアンセがいるのに』のまんが化を発表した。 
 

※画像データ (左から)『バイバイB・Fどの!』(集英社・マーガレットコミックス・1973年4版)、『美人はいかが?(1)』(集英社・マーガレットコミックス・1971年初版)、『ハロー!王子さま(前)』(集英社・マーガレットコミックス・1975年初版)、『ロザリンドの肖像』(白泉社・花とゆめコミックス・1976年初版)、『三月の庭から』(白泉社・花とゆめコミックス・1978年初版)、『結婚の条件(4)』(白泉社・花とゆめコミックス・1978年初版) 


★太刀掛秀子★ 

 1956年生。1973年、『雪の朝』が第6回りぼん新人漫画賞に入選し、「りぼん」10月増刊号でデビュー。1986年1月発表の『星聖夜』を最後にまんが家を引退した。
 男が少女まんがを読むようになったといわれるのは、70年代に入ってから萩尾望都、山岸凉子、竹宮惠子らが少女まんがの枠を超えた作品を描くようになったからだが、その反動か少女まんがの純化ともいうべき「乙女チック路線」も流行り出していた。岩館真理子、陸奥A子などだが、とくに私が好きだったのは太刀掛秀子の作品である。自分に自信を持てない女の子が、ドジを繰り返しながら自分のよさを見つけてもらえる男の子に出会うラブコメを踏襲しながら、よりセンチメンタルな情感の強い作風が好ましかった。それは
『雨の降る日はそばにいて』『まりの君の声が』『花ぶらんこゆれて…』など、比較的長い作品に顕著である。そんな中では少し大人びた悲恋物語『ひとつの花もきみに』を私は好きだが、それ以上には大人の世界へ踏み込むこともなく、太刀掛は引退してしまった。あくまでも「乙女チック」なまま、太刀掛作品は完結したのである。少女まんがの単行本は11タイトル16冊ですべてだと思う。もっと成熟したストーリーも読みたかった気がするが、そうなれば過剰なまでのセンチメンタリズムの快感は失われたかも知れない。下の画像の左から3作品が初期、右の2作品が末期のものである。この絵の雰囲気の違いは、まるで少女の成長の証のようだ。 

 

※画像データ (左から)『P.M.3:15ラブ・ポエム』(集英社・りぼんマスコットコミックス・1979年14刷)、『なっちゃんの初恋』(集英社・りぼんマスコットコミックス・1979年9刷)、『ミルキーウェイ』(集英社・りぼんマスコットコミックス・1978年初版)、『風がはこぶだろう』(集英社・りぼんマスコットコミックス・1983年初版)、『ひとつの花もきみに』(集英社・りぼんマスコットコミックス・1984年初版)、『秋への小径』(集英社・りぼんマスコットコミックス・1985年初版)


★立原あゆみ★ 
 1946年生。1970年、「週刊マーガレット」の『ダブダブ』でデビューする。初期には「のなかのばら」名義の作品がある。また、「積木爆」名義で原作を担当している作品がある。 
 
※画像データ (左から)『いけない草の町子』(集英社・1976年初版)、『ふたりの回転木馬』(主婦の友社・ロマンコミック自選全集・1979年初版)、『猫の惑星(のらねこ教室)』(朝日ソノラマ・1982年初版)、『熱くんの微熱(1)』(秋田書店・1984年初版)、『星家族』(主婦と生活社・1991年第1刷)、『花火』(秋田書店・1992年初版) 

 ★辰巳ヨシヒロ★

 1935年生。1952年『こどもじま』(鶴書房)でデビュー。「大和義朗、井上三平、江戸五郎」名義の作品もある。2015年没。
 辰巳ヨシヒロは「劇画」の提唱者であり、兄の桜井昌一らと「劇画工房」を結成し、手塚を代表とする「まんが」に対抗していく。私は手塚ファンであったから、そうした作家姿勢への嫌悪もあって、貸本時代の辰巳はほとんど読まなかった。アンソロジー誌で見ることはあっても、地味な絵柄は私が興味を抱くようなものでもなかった。劇画一派では、一方の雄さいとう・たかをの都会的な絵のほうが好きだった。今にして思えば、辰巳が貸本時代にさまざまに表現技法を試行錯誤していた作品を読まなかったのは残念である。ちゃんと辰巳作品を読んだのは遅く、「少年マガジン」に発表した作品からである。少し後に、「ガロ」で辰巳ヨシヒロ特集号が刊行され、そこで初めて辰巳作品の魅力を知ったのだった。しかしながら、「COM」や「ビッグコミック」に発表する作品、あるいは小学館文庫から出た
『鳥葬』『コップの中の太陽』などぐらいしか読めず、ほとんどの作品は読み逃していた。現在、貸本以後の単行本すらも入手に苦労しているので、2002、3年に『大発見』『大発掘』の2冊が刊行されたのは喜ばしいことであった。貸本時代の作品の復刻も期待している。

 

※画像データ (左から)『黒い吹雪』(青林工藝舎・2010年復刻)、『死者が会いに来る』(第一プロダクション・辰巳ヨシヒロ選集A・刊行年不明)、『視界0』(東考社・ホームラン文庫・辰巳ヨシヒロ全集A・刊行年不明)、『四角い戦場』()、『地球最後の日』(ヒロ書房・第一文庫・第一ジュニアコミックス・1968年刊)、『長い長い夏』(ナポレオンブックス・1971年刊) 


★棚下照生★

 1934年生。1951年、『ハンスと魔王』(鶴書房)でデビュー。鶴書房から53年に刊行の藤子不二雄『UTOPIA最後の世界大戦』に併録された『覆面団』は棚下の作品という説がある。「棚下てるお・加賀五三六(イサム)」名義の作品もある。2003年没。 
 

※画像データ (左から)『戦国珍勇伝』(少年画報社「少年画報」1955年3月号付録)、『ヒマラヤ天兵』(集英社「おもしろブック」1959年3月号付録)、『めくらのお市物語・蒼き狼の群』(芳文社・長編コミック傑作集・1968年刊)、『ハンターお竜』(秋田書店・プレイコミック・デラックス・1969年刊)、『モナリザお京』(実業之日本社・ホリデーコミックス・1970年初版)、『ずうふる(1)』(日本文芸社・ゴラクコミックス・1978年刊) 


 ★田中正雄★

 1927年生。1947年、「新少年」への投稿作品でデビュー。大阪で数多くの単行本を刊行し、1950年『補欠の正ちゃん』(「野球少年」)で東京に進出する。近年は学習まんがなどを中心に活躍。田中まさお」となっている。
 田中正雄は一時期手塚治虫と拮抗するほどの作品を発表しながらも、週刊誌へは移行しなかった作家だと思う。週刊誌では読んだ記憶がない。したがって、私がリアルタイムで読んだ作品はほとんどないが、
『ダルマくん』は知っていた。現在、「少年傑作集」「少年漫画劇場」で一部を読むことができ、アップルBOXの復刻本も刊行され始めているが完結はしていない。この作品は『イガグリくん』などの傾向の柔道ものとしては下の画像の回が最終回で、以後『ダルマ探偵長』という探偵ものに路線が変更されている。また『ライナーくん』も知っていたが、全部を読んではいない。端正な絵と善良なストーリーは寺田ヒロオに近いものを感じていたが、『スピードハッチ』『弾丸リッキー』『エンゼルZ』などSFヒーローものの作品も多く、幅広い活躍をしていことを後に知った。赤本から月刊誌進出までの手塚とのエピソードを、「ある日の手塚治虫」(ふゅーじょんぷろだくと)の中の『大阪時代に出会った手塚治虫』で自らがまんが化して描いているが、内容よりも田中の人柄が窺える佳作となっている。数多く描いた歴史人物や日本史などの学習まんがも私は一部しか読んだことがないが、端正で品のいい絵柄を活かす場を得ていると思えた。

 

※画像データ (左から)『笹野権三郎』(秋田書店・「漫画王」1958年1月号付録)、『ダルマくん』(光文社・「少年」1958年12月号付録)、『ライナーくん』(講談社・「ぼくら」1956年6月号付録)、『エンゼルZ』(秋田書店・「冒険王」1959年10月号付録)、『弾丸リッキー』(集英社・「日の丸」1959年10月号付録)、『心の太陽』(横山プロ・「熱血山脈」第2章・1966年刊)


 ★谷川一彦★
 1936年生。1952年、「冒険王」に発表した『千万弗そうどう』がデビュー作らしい。2008年没。 
 
※画像データ (左から)『牧場の少女』(「なかよし」1955年5月号付録)、『たから島』(「ぼくら」1955年7月号付録)、『青い鳥』(「なかよし」1955年11月号付録)、『海はしってる』(「なかよし」1958年1月号付録)、『ガラスの靴』(「少女クラブ」1956年新年増刊号付録)、『王女と魔もの』(「少女クラブ」1956年12月号付録・2009年「懐かしの少女夢ふろく」復刻) 

 ★谷口ジロー★

 1947年生。1972年『嗄れた部屋』(「ヤングコミック」)でデビュー。初期には「谷口治郎」と表記することもあった。海外での評価も高い。2017年没。
 現役の作家の中で、私が一番好きな作家が谷口ジローである。谷口ジローの名前は70年代から知っていたが、二流劇画作家というイメージがあってきちんと読んだことがなかった。初めて単行本を買ったのは90年代になってからだ。
『「坊ちゃん」の時代』シリーズ(原作・関川夏央)が評判になり、第3巻の『かの蒼空に』が出たときに三冊まとめて買って読んでみたのだった。独自の視点で近代文学者たちを解釈する原作の魅力もさることながら、谷口の表現力の素晴らしさに目を瞠った。で、旧作の『ブランカ』を買った。泣いた(笑)。これが私のベストである。ずっと経ってから続編の『神の犬』が描かれたが、これは蛇足だと思う。谷口作品には原作付きの作品が多く、関川夏央との『事件屋稼業』シリーズ『リンド3!(戦士同盟)』ではコミカルでシニカルなハードボイルドを、狩撫麻礼との『ナックル・ウォーズ』『LIVE!オデッセイ』ではスポーツや音楽の世界を題材に失われた夢へのレクイエムを、遠崎史郎との『K』、夢枕貘との『神々の山嶺』では臨場感に満ちた山岳アクションを、と力作を描き続けている。夢枕は、谷口について、「プロボクサー、アマレスラー、プロレスラーの肉体の違いをはっきり描き分けられる稀有な作家である」と述べる。SFも『地球氷解事紀』やメビウス原作の『イカル』などの描写は感嘆に値する。一方で、『犬を飼う』などのエッセイ風作品も素晴らしい。最近はオリジナルが多く、『父の暦』『遥かな町へ』『晴れゆく空』というノスタルジックで静かな雰囲気を持つ作品群が目立つが、これらは現在のまんがの、ひとつの達成を示している。 

 

※画像データ (左から)『ぐじゃままにたら』(文・佳里歩・1972年刊)、『事件屋稼業』(双葉社・アクションコミックス・1980年初版)、『ハンティング・ドッグ』(廣済堂・コミックパック・1982年初版)、『超戦闘犬ブランカ(1)』(祥伝社・ノンコミックワイド・1985年初版)、『地球氷解事紀(1)』(講談社・モーニングKCDX・1988年初版)、『坊ちゃんの時代・第五部・不機嫌亭漱石』(双葉社・1997年第1刷) 

 Topic  新旧「シートン動物記」
 
Topic   谷口ジロー所有作品リスト ※私が持っている作品のリストです。
書名 発行年月日 出版社 収録作品 備考
狼王ロボ 1974.5 集英社 狼王ロボ 学習漫画シートン動物記@
監修解説・藤原英司
谷口治郎名義
裏町の野良ネコ 1974.8 集英社 裏町の野良ネコ 学習漫画シートン動物記C
監修解説・藤原英司
谷口治郎名義
白いトナカイの伝記 1974.11 集英社 白いトナカイの伝説 学習漫画シートン動物記F
監修解説・藤原英司
谷口治郎名義
少年とオオヤマネコ 1975.2 集英社 少年とオオヤマネコ 学習漫画シートン動物記I
監修解説・藤原英司
谷口治郎名義
谷口ジロー官能傑作選
濡れた性少女
刊行年不明 ヤング出版社 WANTED   濡れたからくり人形/いたずら女教師/天幕一座の女/餌食/聖少女/熟れすぎた密室/嗄れた部屋/懐かしい女 劇画ヤング別冊 
無防備都市(1) 刊行年不明 オハヨー出版 1・新任部長刑事・風間卓也/2・狼も死ね!!豚も死ね!!/3・早春は苦い吐息/4・出航〈ロング・グッドバイ〉/5・ルーキーとベテラン/6・誘拐/ユリシーズが旅立った雨の夜 別冊エースファイブコミックス32
白背カバー版
作・関川夏央
無防備都市(2) 刊行年不明 オハヨー出版 7・1万メートル走者/8・ヤクザ業界/9・退き際/10・秋の花火/最終回・ラスト・ショー/大都会のはらわた/跳べ!!暗殺犬 別冊エースファイブコミックス32
白背カバー版
作・関川夏央
無防備都市(1) 刊行年不明 オハヨー出版 同上 黄背カバー版
無防備都市(2) 刊行年不明 オハヨー出版 同上 黄背カバー版
暴力街21分署〈無防備都市〉 1985.2.20 竹書房 1・狼も死ね!!豚も死ね!!/2・出航〈ロング・グッドバイ〉/3・ルーキーとベテラン/4・誘拐/5・ヤクザ業界/6・引き際/7・秋の花火 バンブーコミックス・ピカレスク・シリーズ
作・関川夏央
大いなる野生 1980年頃 オハヨー出版 裂けた咆哮/ザ・パック〔群れ〕/ユーカラの森/イラタカの数珠/荒野を歩め/枯柴灘/鷹 別冊エースファイブコミックス39
谷口ジロー傑作集・大いなる野生 1980年頃 オハヨー出版 同上 エースファイブコミックス
新・大いなる野生 1985.12.20 祥伝社 上海1929/ユーカラの森/イラタカの数珠/裂けた咆哮/森へ/荒野を歩め/枯柴灘/鷹/ロング・ナイフ/月に吠える ノン・コミックス・ワイド
リンド3!(1) 1979.10.15 双葉社 1・もっとも危険なゲーム/2・やさしき魔弾の射手/3・血のたりない殺し屋/4・センチメンタル・キラー/5・ヴィンセントの青春/6・春の嵐/7・HIGHEST HIGH アクションコミックス
作・関川夏央
リンド3!(2) 1980.3.1 双葉社 8・高校生無頼控/9・叫び/10・ゴールド・ウォーター作戦/11・星子の舞踊会/12・帰らざる日々/13・港町ブルース/14・塁間90フィート アクション・コミックス
作・関川夏央
リンド3!(3) 1980.4.25 双葉社 15・ブルー・トレインの遁走曲/16・ギャンブラー・オン・ザ・ロード/17・ランチタイム・マイナス1/18・約束/19・ウィニング・ショット アクション・コミックス
作・関川夏央
リンド3!(4) 1980.6.10 双葉社 20・三匹火の玉!海外雄飛/21・夜の果ての旅/22・ジョー……オン・ザ・ロード/23・フィニシング・ブロウ/24・!リンド!/海の牙よ静かに眠れ!!/要求は……なにもない アクションコミックス
作・関川夏央
リンド3!(1) 1985.12.20 竹書房 1・もっとも危険なゲーム/2・やさしき魔弾の射手/3・血のたりない殺し屋/4・ウィニング・ショット/5・ゴールド・ウォーター作戦/6・ブルートレインの遁走曲/7・センチメンタル・キラー バンブコミックスピカレスク・シリーズ
作・関川夏央
リンド3!(2) 1985.12.20 竹書房 8・高校生無頼控/9・三匹火の玉!海外雄飛/10・星子の舞踊会/11・叫び/12・ヴィンセントの青春 バンブコミックスピカレスク・シリーズ
作・関川夏央
リンド3!(3) 1986.2.20 竹書房 13・塁間90フィート/14・帰らざる日々/15・約束/16・春の嵐/17・ハイエスト・ハイ/18・ギャンブラー・オン・ザ・ロード/19・港町ブルース バンブコミックスピカレスク・シリーズ
作・関川夏央
リンド3!(4) 1986.2.20 竹書房 20・ランチタイム・マイナス1/21・夜の果ての旅/22・ジョー・オン・ザ・ロード/23・!リンド!/海の牙よ静かに眠れ!! バンブーコミックス・ピカレスク・シリーズ
作・関川夏央
事件屋稼業 1981.5.13 双葉社 1・クリスマスの贈物/2・乾いた花/3・補償の法則/4・ソクラテスの女房/5・劇画’80/6・復讐のメロディー/7・あの日に帰りたい/8・フェイク・エンディング アクションコミックスB6判
作・関川夏央
事件屋稼業 1986.5.28 双葉社 同上+探偵SLEUTH−HOUND アクションコミックスA5判
作・関川夏央
新・事件屋稼業 1988.1.25 日本文芸社 1・いちばん大切なもの/2・気やすく呼ぶな/3・酔いしれて/4・伝言を頼む/5・若干の決意あり/6・父親参観日/7・手編みの味/8・なつかしいルネへ ゴラクコミックス
作・関川夏央
新・事件屋稼業2 1994.2.25 日本文芸社 1・やせがまん/2・愛は世界をほろぼす/3・死ぬにはまだ早い/4・市民の生活/5・おとなはわかってくれない/6・みんな病気/7・白ネコ黒ネコ ゴラクコミックス
作・関川夏央
新・事件屋稼業3 1994.2.25 日本文芸社 1・組織暴力/2・生者の奢り/3・極道の条件/4・気楽な商売/5・思い出を射ち抜く/6・四つの現代化/7・アレックスからの伝言 ゴラクコミックス
作・関川夏央
新・事件屋稼業4 1994.2.25 日本文芸社 1・災厄の町/2・正義は花ざかり/3・十八年の不在/4・裁きはわがもの/5・さびしいひとびと/6・人生とはなんだ/7・老後の楽しみ ゴラクコミックス
作・関川夏央
新・事件屋稼業5 1994.12.25 日本文芸社 1・探偵の小さな秋/2・憂国/3・世紀末は近いぜ/4・ゆくものはかくのごときか/5・人生絶好調/6・女帝たち/7・事件屋は不滅さ ゴラクコミックス
作・関川夏央
事件屋稼業(1) 1996.7.20 双葉社 「事件屋稼業」86年版の加筆・再編集版 作・関川夏央
事件屋稼業(2) 1996.7.20 双葉社 「新・事件屋稼業」の加筆・再編集版 作・関川夏央
事件屋稼業(3) 1997.2.27 双葉社 「新・事件屋稼業2」の加筆・再編集版 作・関川夏央
事件屋稼業(4) 1997.2.27 双葉社 「新・事件屋稼業3」の加筆・再編集版 作・関川夏央
事件屋稼業(5) 1997.12.15 双葉社 「新・事件屋稼業4」の加筆・再編集版 作・関川夏央
事件屋稼業(6) 1997.12.15 双葉社 「新・事件屋稼業5」の加筆・再編集版 作・関川夏央
青の戦士 1982.3.24 双葉社 1・負け星のメイン・イベンター/2・目醒め/3・ザ・レゲ・シンジケート/4・第三の眼/5・闇の底/6・セミ・ファイナル/7・狩〈ザ・ゲーム〉/8・ラスト・バトル/最終話・黙示 アクションコミックス
作・狩撫麻礼
LIVE!オデッセイ(1) 1982.9.17 双葉社 帰還(リターン)/ペントハウス/〈恋の正多面体〉/ハード・タイムス/銀の幕/月光のピエロ/スネークマン・ショウ アクションコミックス
作・狩撫麻礼
LIVE!オデッセイ(2) 1982.10.18 双葉社 one night/run,run,run/rainbow/night moves/we shot the アクションコミックス
作・狩撫麻礼
LIVE!オデッセイ(3) 1982.11.18 双葉社 the man/miner performer/trouble in/up tempo/super star/live
野獣の夜/ジェロニモ/サバンナの風は赤く
アクションコミックス
作・狩撫麻礼
LIVE!オデッセイ sideA 1987.3.28 双葉社 帰還(リターン)〜run,run,run(前編)まで アクションコミックス・デラックス
作・狩撫麻礼
LIVE!オデッセイ sideB 1987.4.28 双葉社 run,run,run(後編)〜liveまで アクションコミックス・デラックス
作・狩撫麻礼
ハンティング・ドッグ 1982.3.10 廣済堂 1・巨人は激しく倒れる/2・野良犬たちの苦い夜/3・可愛い死神/4・依頼人は奇妙な仔猫/5・44口径のハート・ブレイク/6・メタルポリスの蒼い虎/7・犯るか殺られるか! 廣済堂コミック・パック
ハンティング・ドッグ/可愛い死神 1985.6.20 廣済堂 同上(タイトル変更=2・野獣たちの苦い夜/6・メタロポリスの蒼い虎/7・殺るか殺られるか!) 廣済堂コミックス
ナックル・ウォーズ(1) 1983.5.15 秋田書店 1・プロローグ/2・水晶の夜/3・遭遇〈encounter〉/4・夢見る場所/5・24時〈ゼロ・アワー〉/6・旅の途上/7・起き上がる毒蛇/8・デビュー プレイコミックス・シリーズ
作・狩撫麻礼
ナックル・ウォーズ(2) 1983.5.15 秋田書店 1・セブンティーン/2・タイトル・ロール/3・〈国境の町〉/4・〈闇試合〉/5・チュチュ・エカリンド/6・ファースト・コンタクト/7・その男…チコ/8・a death〈deΘ〉/9・〈遺言〉 プレイコミックス・シリーズ
作・狩撫麻礼
ナックル・ウォーズ(3) 1983.12.10 秋田書店 1・花〈HANA〉/2・フロム・メキシコ/3・蛇のガウン/4・〈第5戦!〉/5・詩も夢も/6・〈戦慄〉/7・水晶・アゲイン/8・〈FLASH・BACK〉/9・ダブル・タイトルマッチ/10・ENDLESS・END プレイコミックス・シリーズ
狩撫麻礼
ナックル・ウォーズ(上) 1998.8.15 双葉社 1・プロローグ〜13・チュチュ・エカリンド 双葉文庫名作シリーズ
作・狩撫麻礼
ナックル・ウォーズ(下) 1998.8.15 双葉社 14・ファースト・コンタクト〜27・ENDLESS END 双葉文庫・名作シリーズ
作・狩撫麻礼
西風は白い 1984.2.19 双葉社 西風は白い/死よりも赤く/夏は蒼ざめた荒野/彼方には緑の森/マッキンレーの眠れる鳩/北の黙示録/犬の日/死ぬには好い日だ アクションコミックス
作・関川夏央
ルード・ボーイ 1984.12.20 秋田書店 1・スクリーンの女/2・吼る!!/3・追手/4・夜明けに……/5・アップ・ダウン/6・SAYONARA/7・Synchronicity/8・RUDE END プレイコミック・シリーズ
作・狩撫麻礼
エネミーゴ 1985.11.20 秋田書店 1・起点/2・決意/3・開始/4・展開/5・接触/6・潜入/7・奪還/8・背信/9・危険/10・ADIOS ENEMIGO プレイコミック・シリーズ
作・M.A.T.
エネミーゴ最終版 2007.12.5 光文社 1・起点/2・決意/3・開始/4・展開/5・接触/6・潜入/7・奪還/8・背信/9・危険/10・ADIOS ENEMIGO さらば敵よ 光文社コミック叢書シグナル
作・M.A.T
超戦闘犬ブランカ(1) 1985.10.30 祥伝社 1・凍土の犬/2・白い牙/3・トルナイト(悪霊)/4・ターゲット(標的)/5・トレイサー(追跡者)/6・トリガー/7・手負い/8・ル・シアン−友は西から/9・荒野へ/10・ホーミング(帰巣本能) ノンコミック・ワイド
超戦闘犬ブランカ(2) 1986.7.20 祥伝社 11・ウペルナーク(早春)/12・プロジェクト“G”/13・パトリシア/14・BATTLE DOGS(戦闘犬)/15・TOT MACHT!(殺せ)/16・DEATH FIGHT(死闘)/17・脳波誘導レーザーライフル/18・遠い声/19・ラスト・スパート/20・誕生 ノンコミック・ワイド
ブランカ(1) 1996.7.1 小学館 1・凍土の犬〜10・帰巣本能 ビッグコミックス
ブランカ(2) 1996.8.1 小学館 1・早春〜10・誕生 ビッグコミックス
神の犬(ブランカU)(1) 1996.9.1 小学館 1・狼の時/2・黒と銀/3・出逢い/4・力を与うもの/5・銀色の風/6・特殊軍事戦闘犬/7・制御不能/8・追う者/9・狙撃/10・谺する牙/11・彼方への咆哮 ビッグコミックス
神の犬(ブランカU)(2) 1997.2.1 小学館 1・西より東より/2・黒の群れ/3・風の化身/4・始動/5・森の家/6・ザポリャーリエ(極北)/7・回帰/8・罠/9・火の時/10・燃えあがる森/11・再会/12・生きる ビッグコミックス
『坊ちゃん』の時代 1987.7.9 双葉社 1・漱石先生麦酒酔余の行状について/2・『坊ちゃん』に対する漱石の初期構想/3・明治三十八年秋の日本/4・漱石の陰画/5・明治の群像/6・マドンナと清/7・風粛々として墨水寒し/8・もうひとりの『坊ちゃん』/9・春風一陣/10・小説家漱石の誕生/11・明治三十九年の桜 アクションコミックス
作・関川夏央
『坊ちゃん』の時代・第二部・秋の舞姫 1989.10.28 双葉社 1・印度洋上で瞑目する/2・一八八八年九月鴎外帰国/3・ドイツ婦人エリス・バイゲルト/4・陽のあたる坂道/5・明治四十二年七月駒込千駄木町二十一番地/6・独逸日記(一)/7・独逸日記(二)/8・わが心なんぞ頼みがたき/9・悲恋ふたつ/10・東京の冒険/11・かのように/12・越中島驟雨/最終・寂しい俥 アクションコミックス
作・関川夏央
『坊ちゃん』の時代・第三部・【啄木日録】かの蒼空に 1992.1.12 双葉社 1・明治四十二年四月三日烟雨/2・髭を落とす/3・浅草の夜のにぎわいにまぎれ入れり/4・借金王啄木/5・啄木はなぜ貧乏なのか/6・借金もまた表現である/7・墨田川木芽雨/8・炎の女管野須賀子/9・退いて餓死か、進んで爆発か/10・不定愁訴の時代/11・女は強しされど男はたよりなし/12・子は弱者なり/13・「あこがれ」も売る//最終・弓町へ アクションコミックス
作・関川夏央
『坊ちゃん』の時代・第四部・明治流星雨 1995.5.26 双葉社 1・秋水捕縛/2・土佐中村の人、幸徳伝次郎/3・社会主義とはなんだ?/4・日露戦時下の彼ら/5・寒い夏/6・清涼なる泥濘、寒村という若者/7・火のように寂しい須賀子という女/8・無政府共産/9・運命の車/10・日本皇帝睦仁君に与う/11・テロリスト群像/12・正義の人々/13・ハレー彗星回帰/最終・明治流星雨 アクションコミックス
作・関川夏央
『坊ちゃん』の時代・第五部・不機嫌亭漱石 1997.8.28 双葉社 1・雨降る/2・臍下三寸/3・幽明混沌/4・立秋小康/5・秋風を聴く/6・忘るべからざる二十四日/7・先生、なぜこちらに?/8・一本梶棒土俵入/9・時の河/10・あなたは画だ/11・光年の孤独/12・秋天白露/13・蒼穹無彊/14・煢然として独り老ゆ/15・明治が終焉する アクションコミックス
作・関川夏央
カラー愛蔵版・『坊ちゃん』の時代 2010.12.25 双葉社 1・漱石先生麦酒酔余の行状について/2・『坊ちゃん』に対する漱石の初期構想/3・明治三十八年秋の日本/4・漱石の陰画/5・明治の群像/6・マドンナと清/7・風粛々として墨水寒し/8・もうひとりの『坊ちゃん』/9・春風一陣/10・小説家漱石の誕生/11・明治三十九年の桜 作・関川夏央
海景酒店 1986.1.14 双葉社 グッドラック・シティ/海景酒店/迷子通りのレストラン/つかの間の恋SCENE1/つかの間の恋SCENE2/東京式殺人(作・アラン・ソーモン・潤色・関川夏央) アクションコミックス
1988.6.17 リイド社 1・K2/2・PUMO RI/3・EVEREST/4・MAKALU SPコミックス
作・遠崎史郎
1993.8.12 双葉社 K2/PUMO RI/EVEREST/MAKALU/KAILAS アクションコミックス
作・遠崎史郎
地球氷解事紀(1) 1988.6.23 講談社 第1部・極地編
プロローグ・氷の島ヌナタク/1・巨なる鯨/2・銀の腕輪/3・孤立の島/4・氷海馬賊/5・登攀/6・救出/7・決意/8・氷原/9・眠れる巨神/10・巨神伝説
モーニングKCデラックス
地球氷解事紀(2) 1992.5.23 講談社 第2部・南下編
1・氷河期の終わり/2・始原の森/3・目覚める巨神/4・大樹海/5・迷宮都市アビィス/6・子供だけの都/7・記憶への旅/8・ア・ド・ル・フ/9・都市の乱/10・大祖母様
モーニングKCデラックス
地球氷解事紀(上) 2002.11.28 双葉社 プロローグ・氷の島ヌナタク/1・巨なる鯨/2・銀の腕輪/3・孤立の島/4・氷海馬賊/5・登攀/6・救出/7・決意/8・氷原/9・眠れる巨神/10・巨神伝説
地球氷解事紀(下) 2002.11.28 双葉社 1・氷河期の終わり/2・始原の森/3・目覚める巨神/4・大樹海/5・迷宮都市アビィス/6・子供だけの都/7・記憶への旅/8・ア・ド・ル・フ/9・都市の乱/10・大祖母様
餓狼伝 1990.6.30 朝日ソノラマ 第一章〜終章 作・夢枕貘
餓狼伝(新装版) 1994.12.27 朝日ソノラマ 第一章〜終章 作・夢枕貘
原獣事典 1990.12.17 講談社 散歩する一角獣エラスモテリウム/力まかせのマカイロドゥス/春は寝て待てアグリオテリウム/覚えているかいマンムーサス・トロゴンテリィ/豚肉食いのフォロラルコス/ウマくいったぞプリオヒップス/あんまりのろまなメガテリウム/夢見る恋人たちオキシダクティルス/食べて歩いてパレオマストドン/海は広いぞプロトケトゥス/のんきでものぐさカニメイエリア/愛と哀しみのキノディクチス/やさしい気持ちでバルキテリウム/いつくしみ深き森のパレオトラグス/カメは万年プロガノケリス/お調子もんだよメソサイオン/そっとひそやかにエオゾストロドン/立って歩こうラマピテクス モーニング・コミックブック
原獣事典 1998.8.16 双葉社 同上(タイトル変更=覚えているかいマンムートゥス・ジェファーソニ/のんきでものぐさカンネメイエリア/やさしい気持ちでインドリコテリウム/お調子もんだよメソキオン) アクションコミックス
解説・金子隆一
サムライ・ノングラータ(1) 1991.8.1 小学館 ACT.1〜12 ビッグコミックス
作・矢作俊彦
サムライ・ノングラータ(2) 1991.10.1 小学館 ACT.13〜24 ビッグコミックス
作・矢作俊彦
サムライ・ノングラータ 2009.10.25 フリースタイル サムライ・ノングラータT〜Z/ル・マン25時T〜V/世界の八%T〜Z/百円の孤独T〜Z 作・矢作俊彦
歩くひと 1992.4.23 講談社 1・鳥を見る/2・雪が降る/3・町に出かける/4・木のぼり/5・雨が降る/6・夜泳ぐ/7・台風のあと/8・長い道/9・星の降る夜/10・路地をぬける/11・かすんだ風景/12・桜の寝床/13・忘れもの/14・夜明け/15・よしずを買って/16・いい湯だな/17・海を見に来て ワイドKCパーティー
風の抄・柳生秘帖 1992.9.30 秋田書店 1・無形の位/2・猿廻/3・十太刀/4・逆風/5・燕飛/6・村雲/7・八重垣/8・乱剣/最終・活人剣 作・古山寛
犬を飼う 1992.11.20 小学館 犬を飼う/そして…猫を飼う/庭のながめ/三人の日々/約束の地 ビッグコミックススペシャル
欅の木 1993.11.1 小学館 欅の木/白い木馬/再会/兄の暮らし/雨傘/絵画館付近/林を抜けて/彼の故郷 ビッグコミックススペシャル
作・内海隆一郎
欅の木[新装版] 2010.3.4 小学館 欅の木/白い木馬/再会/兄の暮らし/雨傘/絵画館付近/林を抜けて/彼の故郷 ビッグコミックススペシャル
作・内海隆一郎
森へ 1994.9.10 河出書房新社 帰郷(文・関川夏央)/ジャコウ/鷹/森へ〔岩の蹄〕/ジェロニモ/ロング・ナイフ/月に吠える/ カワデパーソナルコミックス
父の暦 1995.1.1 小学館 第一章〜最終第十二章 ビッグコミックススペシャル
N.Y.の弁慶 1996.6.1 小学館 HAGGIS/HOOK/THROW BACK/THE CRY/SWORD FISH/NECK LACE/A BASEMENT ビッグコミックススペシャル
作・毛利甚八
孤独のグルメ 1997.10.30 扶桑社 第1話〜第18話 作・久住昌之
孤独のグルメ〔新装版〕 2008.4.30 扶桑社 第1話〜第18話/特別編 作・久住昌之
遥かな町へ(上) 1998.11.1 小学館 第1章〜第8章 ビッグコミックススペシャル
遥かな町へ(下) 1999.4.1 小学館 第1章〜第8章 ビッグコミックススペシャル
東京幻視行 1999.1.22 講談社 東京幻視行/夢のつづき/サスケとジロー/THE BACK OF BEYOND1〜3/1997年の暗殺者(作・関川名夏央)/白色地帯(1・非常勤刑事リカオン、2・壁の穴)/CHERGY/ダッシュ! KCDX
捜索者 2000.2.1 小学館 第1話〜最終第13話 ビッグコミックススペシャル
イカル 2000.11.30 美術出版社 scene:1〜scene:12 原作・メビウス
神々の山嶺(1) 2000.12.20 集英社 第1話〜第8話 ビジネスジャンプ愛蔵版
作・夢枕獏
神々の山嶺(2) 2001.8.23 集英社 第9話〜第18話 ビジネスジャンプ愛蔵版
作・夢枕獏
神々の山嶺(3) 2002.5.22 集英社 第19話〜第27話 ビジネスジャンプ愛蔵版
作・夢枕獏
神々の山嶺(4) 2003.4.23 集英社 第28話〜第36話 ビジネスジャンプ愛蔵版
作・夢枕獏
神々の山嶺(5) 2003.5.25 集英社 第37話〜最終47話 ビジネスジャンプ愛蔵版
作・夢枕獏
天の鷹 2002.10.28 双葉社 第1話〜第10話 アクションコミックス
凍土の旅人 2005.1.1 小学館 凍土の旅人/白い荒野/山へ/貝寄風島/松華樓/海へ還る ビッグコミックススペシャル
シートン…旅するナチュラリスト…第1章『狼王ロボ』 2005.4.28 双葉社 その1〜その14 アクションコミックス
原案・今泉吉晴
シートン…旅するナチュラリスト…第2章『少年とオオヤマネコ』 2006.1.12 双葉社 その1〜その13 アクションコミックス
原案・今泉吉晴
シートン…旅するナチュラリスト…第3章『サンドヒル・スタッグ』 2006.9.28 双葉社 その1〜その14 アクションコミックス
原案・今泉吉晴
晴れゆく空 2005.12.24 集英社 第1話〜第12話 ヤンジャンコミックス
散歩もの 2006.3.25 フリースタイル 第1話〜第8話 原作・久住昌之
シートン…旅するナチュラリスト…第4章『タラク山の熊王』 2008.3.28 双葉社 その1〜その19 アクションコミックス
原案・今泉吉晴
冬の動物園 2008.4.2 小学館 第1章:冬の動物園/第2章:始まりの春/第3章:裸婦を描く/第4章:兄が来た/第5章:長い休日/第6章:星に願いを/第7章:冬の陽だまり ビッグコミックススペシャル
谷口ジロー選集・犬を飼うと12の短編 2009.10.5 小学館 犬を飼う/そして…猫を飼う/庭のながめ/三人の日々/約束の地/海へ還る/松華楼/山へ/凍土の旅人/白い荒野/貝寄風島/秘剣残月/百年の系譜 ビッグコミックススペシャル
谷口ジロー選集・ブランカ 2009.11.4 小学館 1・凍土の犬/2・白い牙/3・悪霊/4・標的/5・追跡者/6・トリガー/7・手負い/8・ル・シアン−友は西から/9・荒野へ/10・帰巣本能/11・早春/12・プロジェクト“G”/13・パトリシア/14・戦闘犬/15・殺せ/16・死闘/17・脳波誘導レーザーライフル/18・遠い声/19・ラスト・スパート/20・誕生 ビッグコミックススペシャル
谷口ジロー選集・神の犬 2009.12.5 小学館 1・狼の時/2・黒と銀/3・出逢い/4・力を与うもの/5・銀色の風/6・特殊軍事戦闘犬/7・制御不能/8・追う者/9・狙撃/10・谺する牙/11・彼方への咆哮/12・西より東より/13・黒の群れ/14・風の化身/15・始動/16・森の家/17・ザポリャーリエ(極北)/18・回帰/19・罠/20・火の時/21・燃えあがる森/22・再会/23・生きる ビッグコミックススペシャル
センセイの鞄(1) 2009.9.30 双葉社 第1回・月と電池/第2回・八の市/第3回・二十二個の星/第4回・キノコ狩その1/第5回・キノコ狩その2/第6回・お正月/第7回・多生/第八回・花見その1/第九回・花見その2 アクション・コミックス
原作・川上弘美
センセイの鞄(2) 2010・2・27 双葉社 第10回・ラッキーチャンス/第11回・梅雨の雷/第12回・島へその1/第13回・島へその2/第14回・干潟ー夢/第15回・こおろぎ/第16回・公園で/第17回・センセイの鞄/第18回・パレードその1/最終回・パレードその2 アクション・コミックス
原作・川上弘美
歩くひとPLUS 2010.3.25 光文社 第T部・歩く人/第U部・サスケとジロー/第V部・夢のつづき・夏の空/第W部・月の夜/第X部・GALLERY・彼方から優しき声が聞こえる 光文社コミック叢書シグナル
ふらり 2011.4.22 講談社 鳶/桜/亀/猫/星/鯨/雨/螢/象/雷/蜻蛉/月/馬/蟻/雪 KCDX
猟犬探偵@セント・メリーのリボン  2011.12.25  集英社  第1話・初猟/第2話・捜索/第3話・待ち伏せ/第4話・狩り日和/第5話・風下/第6話・遠くからの風/第7話・追う者/第8話・苦い狩り/第9話・雪の狩人  グランドジャンプ愛蔵版
原作・稲見一良 
猟犬探偵Aサイド・キック  2012・12・24  集英社  第1話・ヴェガシールド/第2話・見えない足跡/第3話・長い道/第4話・老人と馬/第5話・北へ/第6話・狙撃/第7話・海峡/第8話・相棒  グランドジャンプ愛蔵版
原作・稲見一良 
とも路  2014.8.6  双葉社  第1話・とも路/第2話・幸せな日々/第3話・別離(わかれ)/第4話・彼方の空/第5話・旅立ち/第6話・春が来た  原作・荻原美和子 
千年の翼、百年の夢  2015.2.23  小学館  第1話・ルーヴル宮の守り人/第2話・コローの森/第3話・ドービニーの庭/第4話・1939年のパリ/最終話・千年宮の旅人  ビッグコミックススペシャル 
ヴェネツィア  2016.11.23  双葉社  2014年刊行「ルイ・ヴィトン トラベル・ブック」シリーズ『VENICE』の日本語版  ※ 
La Montagne Magique   2007  casterman  『魔法の山』のフランス語版バンド・デシネ(日本では未単行本化)   
mon annee  2009  DARGAUD  フランス語版バンド・デシネ(日本では未単行本化)  I.Printemps 
アンソロジー
名探偵に名前はいらない 1981.7.10 東京三世社 かくも長き不在/要求は……何もない マイコミックス
狩撫麻礼作品集カリブソング SIDE:A 1999.4.14 小学館 野獣の夜 アスペクトコミックス
adidas MANGA FEVER 2002.5.31 飛鳥新社 孵化
JAPON 2006.1.1 飛鳥新社 夏の空 日仏16人の作家のアンソロジー
AMASIA 2010.7.15 講談社 名づけえぬもの 漫画BOX
SIGNAL VOL.1 2012.4.5 光文社 ぐじゃままにたら 光文社コミック叢書シグナル
その他
ぐじゃままにたら 1972.8.1 自費出版絵本 絵・担当 作・佳里歩
マンハッタン・オプ 1981.11.15 CBSソニー イラスト・担当 作・矢作俊彦
マンハッタン・オプU 1982.1.20 CBSソニー イラスト・担当 作・矢作俊彦
マンハッタン・オプT 2007.10.31 ソフトバンククリエイティブ イラスト・担当 作・矢作俊彦
マンハッタン・オプU 2007.10.31 ソフトバンククリエイティブ イラスト・担当 作・矢作俊彦
マンハッタン・オプV 2007.11.29 ソフトバンククリエイティブ イラスト・担当 作・矢作俊彦
マンハッタン・オプW 2007.11.29 ソフトバンククリエイティブ イラスト・担当 作・矢作俊彦
東京は僕の庭 1998.5.10 光琳社出版 トーン・ワーク・担当 作・フレデリック・ボワレ
サンドウィッチは銀座で 2011.1.10 文藝春秋社 イラスト・担当 作・平松洋子
jiro taniguchi  2016.3.5  小学館  英語・仏語・日本語、三カ国語解説付き  谷口ジロー画集 
TRIBUTE TO OTOMO  2017.1.26  講談社  イラストと文  トリビュート大友克洋 
雑誌(現在単行本未収録分)
ビッグ・コミックONE・AERA COMIC 月の夜/秘剣残月

★田村由美★ 
 生年不詳。1983年、小学館新人コミック大賞に佳作入選した『オレたちの絶対時間』が、「別冊少女コミック」9月増刊号に掲載されてデビュー。 
 
※画像データ (左から)『ビショップの輪(2)』(小学館・1990年第1刷)、『巴がゆく!(8)』(小学館・1990年第1刷)、『神話になった午後』(小学館・1992年第13刷)、『シカゴ(1)』(小学館・2001年第1刷)、『]−DAY』(小学館・1993年第1刷)、『女神が落ちた日』(小学館・1995年第1刷) 

 ★ちばてつや★

 1939年生。1956年『復讐のせむし男』(日昭館)でデビュー。初期には「千葉徹弥」「遠藤喜代志」名義の作品がある。また酒井不二雄名義の作品の作画を担当したこともある。
 あまりスポーツまんがに興味のない私でも、ちばてつや作品は別。すべての作品に作者の愛情が感じられ、一作一作を精魂こめて描いているのがわかる。それだけ管理もしっかりしているのだろう、現在でも容易にデビュー作から最新作までほぼ全作を読むことができる稀有な作家である。私が「少年マガジン」を読み出した頃は、
『紫電改のタカ』が始まったあたりだった。「別冊少年マガジン」で『ちかいの魔球』の総集編も連載していた。『紫電改のタカ』は途中、他の戦記まんがとそれほど違いがあるわけではなかったが、最終回がよかった。人気がなくなって何となく終わってしまう他のまんがに比べて、これほど最終回が印象に残っている作品も珍しい。その少し前に「少女クラブ」に連載を開始した『1・2・3と4・5・ロク』もよく覚えている。上空の視点から走るトラックに接近していく描き方が面白いと思ったものだ。少女まんがもその後ずっと『ユキの太陽』『島っ子』『アリンコの歌』『みそっかす(あかねちゃん)』『テレビ天使』と読み続けた。しかし、やはり何といってもちば作品を好きになったのは『ハリスの旋風』で、その傾向を引き継いだ『おれは鉄兵』が私のベストである。『のたり松太郎』はまだ続きそうな雰囲気を残して終わってしまっているが、これも好きな作品。『あしたのジョー』(原作・高森朝雄)に関しては、途中試合のシーンの繰り返しに飽きるので、世間の評価ほどには好きではないが、梶原原作と格闘して新たなちば作品を生み出したのが素晴らしい。『ハチのす大将』『餓鬼』『モサ』といった中編もよく、ハズレのない作家といえる。 

※画像データ (左から)『復讐のせむし男』(青林堂ネットコミュニケーションズ・2003年復刻)、『ちかいの魔球(1)』(虫プロ・虫コミックス・1970年初版)、『紫電改のタカ(1)』(虫プロ・虫コミックス・1971年初版)、『ハリスの旋風』(「少年マガジン」1965年連載時の扉絵)、『あしたのジョー』(「少年マガジン」1968年連載時の扉絵)、『1・2・3と4・5・ロク(3)』(虫プロ・虫コミックス・1970年初版)


 ★つげ義春★

 1937年生。1955年『白面夜叉』(若木書房)でデビュー。
 私は貸本時代のつげ義春は記憶にない。読んでいたはずだが、作品は辰巳ヨシヒロや白土三平などと区別がつかず、作者名もまた「いばら美喜」などと区別がつかなかったのだと思う。初めて、つげ作品を意識したのは、1968年に「ガロ」の臨時増刊「つげ義春特集号」が出たときだった。その巻頭に描き下ろし作品として載った
『ねじ式』は衝撃的だった。生意気盛りの私に深読みを強要してくる作品という意味で、衝撃的なのである。そう思って読み返してみると、軽く読み流していた『沼』『紅い花』『李さん一家』といった作品までも、深い意味が立ち現れてくるのがわかった。この頃の作品で私が一番好きなのは『ゲンセンカン主人』である。つげの回想記などには、貸本時代の作品は生活のために描き飛ばしていたとあるが、初期作品を読んでもストーリー・テーラーとして優れていたことがわかる。しばらくの沈黙の後、つげが『必殺するめ固め』で復活したとき、私は脱力した。が、この作品は『ねじ式』同様、夢をまんが化(あるいはそのように見せる)した作品で、まさしくするめのように噛めば噛むほど味わいがあった。その後、つげの作品発表の場として創刊された「ばく」に『無能の人』のシリーズを発表して、またまた新展開を見せてくれた。『別離』『蒸発』などで、さらに次の展開を予想させたのだが、中断したまま終わりそうなのが残念である。 

 
※画像データ (左から)『白面夜叉』(文化の森・「つげ義春初期単行本集」・1992年復刻)、『つげ義春作品集』(青林堂・現代漫画の発見・1970年4版)、『鬼面石』(青林堂・現代漫画家自選シリーズ・1972年初版)、『必殺するめ固め・つげ義春漫画集』(晶文社・1981年2版)、『隣りの女』(日本文芸社・1991年初版)、『海辺の叙景』(主婦の友社・ロマンコミック自選全集・1978年初版) 

★土田世紀★ 
 1969年生。1986年、「月刊アフタヌーン」で『未成年』が四季賞を受賞し、連載デビューとなる。2012年没。 
※画像データ (左から)『卒業』(竹書房・1992年初版)、『鐘』(文藝春秋・1996年第1刷)、『せっかちピンちゃん』(白夜書房・1997年第1刷)、『水の中の月』(講談社・1998年第1刷)、『編集王(16)』(小学館・1998年初版)、『同じ月を見ている(1)』(小学館・1998年初版) 

★津野裕子★ 
 1966年生。1986年、「ガロ」の『冷蔵庫』でデビュー。 
 
※画像データ (左から)『デリシャス』(青林堂・1988年初版)、『雨宮雪氷』(青林堂・1994年初版)、同書の口絵、『鱗粉薬』(青林堂・2000年第2版)、『一角散』(青林工藝舎・2008年第1刷)、『鱗粉薬[増補改訂版]』(創英社・2009年第1刷) 

★つのだじろう★ 

 1936年生。1955年『新桃太郎』(「漫画少年」)でデビュー。デビュー当時は、本名の「角田次朗」名義であった。
 私は初期のつのだ作品が好きであった。つのだ作品には、厳しい社会の中で困難に立ち向かって明るく生きていく少年少女が描かれており、心に残る爽やかさがあった。
『123物語』は新聞配達の少年たちの物語だった。少女まんがの『ルミちゃん教室』では可愛がっていた小犬が交通事故で死んでしまう。講談社児童漫画賞を受賞した『ばら色の海』では水上生活者の子供たちの姿を描いていた。『ばら色の海』が私の一番好きなつのだ作品である。その後、少年誌に描いたギャグまんがも好きだった。その中ではマヌケでお人好しのギャングを描いた『ブラック団』が一番だったが、『怪虫カブトン』『グリグリ』『忍者あわて丸』など、どれも面白かった。グリグリは独特なコマ使いがユニークであり、あわて丸は『花のピュンピュン丸』としてTVアニメ化もされた。ストーリーまんがには『ライバル左腕』『ライバルの旗』『どんテン大将』など野球を題材にした作品が目立つが、このあたりはまだ読んでいた。『ライバル左腕』には初期の『太陽くん』と同じく少女選手(どちらも「みどり」という名)が登場している。青年まんがの『女』シリーズ『銀座花族』もかろうじて読んでいるが、つのだの描く女は全然色っぽく見えない。オカルト物の『うしろの百太郎』『恐怖新聞』『空手バカ一代』あたりからはほとんど読まなくなってしまった。  

 

※画像データ (左から)『123物語』(「野球少年」1959年新年号付録)、『スーパー万兵衛』()、『ルミちゃん教室』(「りぼん」1967年12月号付録)、『ばら色の海』(朝日ソノラマ・サンコミックス・1968年初版)、『ブラック団(1)』(朝日ソノラマ・サンコミックス・1968年4版)、『おれの太陽』(朝日ソノラマ・サンコミックス・1968年3版)


 ★鶴田謙二★
 1961年生。同人誌活動を経て、1986年、「週刊コミックモーニング」に『広くてすてきな宇宙じゃないか』でデビュー。 
 
※画像データ (左から)『SF名物・鶴田謙二初期作品集』(講談社・モーニングKCDX・1997年第3刷)、『Spirit of Wonder/スピリットオブワンダー』(講談社・モーニングKCDX・1997年第3刷)、『Forget−me−not/フォゲットミーナット』(講談社・KCDX・2003年第1刷)、『アベノ橋魔法☆商店街』(講談社・アフタヌーンKCDX・2002年第1刷)、『水素/hydrogen』(講談社・1997年第1刷)、『さすらいエマノン』(梶尾真治原作・徳間書店・2012年初版) 
 Topic    『Spirit of Wonder』英語版(ダークホース社・1996年・全5巻)収録は『チャイナさんシリーズ』の3作
 

 ★手塚治虫★

 1928年生。1946年『マアちゃんの日記帳』(「小国民新聞」)でデビュー。1989年没。
 私が物心ついたときには、手塚治虫はすでに別格のまんが家として存在していた。最初に見た作品は
『鉄腕アトム』『ふしぎな少年』だと思うが、当時、貸本で借りた鈴木出版の手塚選集が大好きだった。1950年代に描かれた作品群である『ロック冒険記』で最後に主人公のロックが死んでしまうシーンは感動的であった(初出とは違うことは後に知った)。『黒い宇宙船』『複眼魔人』などの「ライオン・ブックス」シリーズにはSFマインドが突き動かされた。『大洪水時代』『太平洋Xポイント』にはドラマの面白さを知った。他にも『フィルムは生きている』『旋風Z』『ケン一探偵長』など本当に傑作揃いであった。光文社の『ジャングル大帝』もよかったが、このときの単行本では完結していない。私が感動的なラスト・シーンを見るのは、B5判のサンデー・コミックス版まで待たなければならなかった。その頃、『0マン』を収録したB5判の全集も出るが、現代史の中にフィクションを構築する『アリと巨人』が好きだった。リアルタイムで読み継いでいった『バンパイヤ』『W3』『どろろ』などの作品も好きだし、青年まんがでは『シュマリ』『きりひと讃歌』がドラマの深みを感じて好きだった。もちろん手塚作品の集大成ともいうべき『ブラックジャック』も好きな作品である。 

 

※画像データ (左から)『ロック冒険記(2)』(鈴木出版・1955年刊)、『黒い宇宙線』(鈴木出版・手塚治虫漫画選集・1958年刊)、『大洪水時代』(鈴木出版・手塚治虫漫画選集・1962刊)、『鉄腕アトム(2)』(光文社・1957年5版)、『アリと巨人』(鈴木出版・)、『サボテン君』(あかしや書房・1958年刊)


 ★寺沢武一★

 1955年生。1978年、手塚治虫のアシスタントを経て『コブラ』(「週刊少年ジャンプ」増刊号)でデビュー。
 寺沢作品は何といっても絵の魅力である。『コブラ』でデビューしたとき、そのアメリカン・コミックスのテイストはかなり独特だった。今から思えば、フランスのバンド・デシネのほうに近いが、とにかく日本のまんが離れしたスペース・オペラというのが私の好みに適った。意味もなく肌も露わな美女が活躍するといったB級SFの約束ごとを必ず守っているのも好みである(笑)。初期のエアブラシを多様した着色法も当時は新鮮だった。カラーのときなどは、全編にエアブラシを使っていることに驚いたものだ。だが、私がリアルタイムで読んだのは「週刊少年ジャンプ」連載分の『コブラ』だけで、寺沢作品から離れてしまっていた。それは、やはりストーリーの面白みに欠けたからだろう。やはり、本格的なSFに比べると、ヒーロー・キャラ重視のアクションSFといった路線は薄っぺらに見えてしまうのである。それはそれで楽しめるようになるのに、私には時間が必要だったということだろう。寺沢は自らのキャラをかなり大事にしているようで、『コブラ』はいまだに断続的ながら執筆中である。下の5作品に
『鴉天狗カブト』を加えたものが、寺沢の主要キャラのすべてだと思う。寺沢はかなり早い時期からCGを使いデジタル・コミックを描いていた作家のひとりだが、その中でとくに画期的なのは、『GUN DRAGON Σ』である。下書きの段階は普通のまんがと同じように作り、主人公は人間を使って写真を取り、他はすべてCGで描いているのである。映画のフィルム・ブックのようなまんがはあったが、ここまで全面的にまんがの構図に当てはめてモデルを撮影していく方法を使ったのは初めてのことだと思う。この方法を使えば、作家の絵のタッチには関係なく、題材に合わせて映画のように作品を作ることが可能になる。まんがの概念を根本的に覆し、表現の可能性を大きく広げることができるはずだ。もっと評価されてもよい仕事だと思う。どうしても写真は見入る時間が長くなるので、たとえばつげ義春作品や谷口ジロー作品のようなジャンルにこの手法を使ったならば、かなり味わいのある作品ができると思う。もちろんそれは寺沢の仕事ではない。寺沢の後に続く人材が育ってほしいところだ。だが、この手法の難しさは映画以上にキャスティングにあるようだ。インリン(オブ・ジョイトイ)をモデルに使った1作目に対して、『GUN DRAGON U』が面白みに欠けるのは、モデルのせいである。

 
※画像データ (左から)『コブラ(2)』(集英社・ジャンプコミックス・1979年初版)、『BLACK KNIGHT バット』(集英社・ジャンプスーパーコミックス・1989年6刷)、『ゴクウ(1)』(スコラ・SCDX・1988年初版)、『武TAKERU(1)』(スコラ・バーガーSC・1996年初版)、『GUN DRAGON Σ(SIGMA)』(集英社・ジャンプコミックスデラックス・1999年初版)、『GUN DRAGON U』(メディアファクトリー・MFコミックス・2004年初版) 

 ★寺田ヒロオ★

 1931年生。1953年『チャッカリくん』などの作品を漫画少年に掲載してデビュー。1992年没。
 寺田ヒロオは、井上一雄の『バット君』のような健全明朗スポーツまんがを描こうと志向していた。その代表作は
『背番号0』『スポーツマン金太郎』である。この2作は掲載誌を変えて描き継がれていたので、全貌がよくわからないが、一方は地域の子供たちを描いたホーム・ドラマとして、一方はお伽話とスポーツを融合させたファンタジーとして、いかにも児童まんがの理想形といえる。私が一番好きだったのは、『スポーツマン佐助』である。貸本で読んでいたため、やはり全貌がよくわからないが、猿飛佐助や霧隠才蔵、石川五右衛門や自雷也といったキャラクターの面白さ、スポーツ界を飛び出すアドベンチャーの要素が楽しかった。他にも『もうれつ先生』『わんぱく記者』などのヒット作があったが、どれもすべてを読んでいないのが残念である。唯一連載開始からきちんと読んだのが『暗闇五段』であった。絵もストーリーも当時すでに古くさいイメージを持っていたが、そのオーソドックスな物語作りは巧く、力作といえる。これが寺田にとって最後の長編作品となり、その後、あまり作品を描かなくなり断筆したといわれていた。 

 

※画像データ (左から)『背番号0』(虫プロ・虫コミックス・1969年3版)、『背番号0・探偵の巻/名探偵0』(「野球少年」1956年11月号付録)、『わんぱく記者』(少年画報社「少年画報」1959年11月号付録)、『スポーツマン金太郎』(草の根出版会・漫画名作館・1989年初版)、、『暗闇五段』(小学館・ゴールデンコミックス・1969年初版)、『スポーツマン佐助』(「野球少年」1958年5月号付録) 


 ★トニーたけざき★

 1963年生。デザイン学校在学中から同人誌活動をしていたが、実質的なデビュー作は『AD.ポリス25時』であるらしい。
 トニーたけざきを知ったのは、朝日新聞の「漫画鏡」というコラムをたまたま見たときに
『岸和田博士の科学的愛情』が紹介されていたからだった。面白そうだと思って買って読み、すぐにはまってしまった。その時点では3巻まで刊行されていたと思うが、以後、12巻の完結巻まで新刊が待ち遠しかった。その間に旧作を探して読んだが、単行本は3冊しか出ていなかった。トニーたけざきの魅力は、圧倒的なSFマインド(アイデアと知識と描写力)を持ちながら、じつにくだらないB級パロディへと落としてしまうところである。それはそれで楽しくて仕方ないが、もったいないと感じることもある。『AD.ポリス25時』の中に、全編シリアスに徹した『SUISIDE BOUND』というエピソードがある。シリアスに描いてみせるところも、またトニーたけざきのパロディ精神だろうが、この作品、そんなレベルではない。大友克洋の『アキラ』に匹敵するといっても過言ではない。ぜひ一度本気になってシリアスなSF大作に取り組んで欲しい作家だが、絶対にそんなことをしなさそうなのが、この人である。数十人のまんが家と一緒に描いた『大合作』の製作総指揮をしたり、安彦良和にどっちが自分の描いた原稿かわからなくなるといわせるほどのガンダムのパロディ『トニーたけざきのガンダム漫画』を描いたりして、才能を無駄遣いしているのである(笑)。 

 

※画像データ (左から)『あたまがぱん!』(自主出版個人誌・1985年刊)、『AD.ポリス25時』(大日本絵画・MGコミック・1994年5刷)、『ジェノサイバーSIDE1』(白夜書房・白夜コミックス・1993年初版)、『AD.POLICE終焉都市』(バンダイ・B−CLUBコミック・1990年初版)、『岸和田博士の科学的愛情(9)』(講談社・ワイドKCアフタヌーン・1997年初版)、『SPACE PINCHY』(講談社・アフタヌーンKCDX・2002年初版) 


★富沢順★ 
 1960年生。車田正美のアシスタントを経て、1982年、「週刊少年ジャンプ」で『コマンダー0』を連載デビュー。 
※画像データ (左から)『コマンダー0(2)』(集英社・1983年第1刷)、『あすぴりんDANDY(3)』(集英社・1990年第1刷)、『もーにんぐMOON(2)』(集英社・1992年第1刷)、『企業戦士YAMAZAKI(1)』(集英社・1993年第1刷)、『ETRANGER−エトランゼ−(1)』(集英社・2001年第1刷)、『殺し屋麺吉(1)』(新潮社・2004年初版) 

 ★巴里夫★

 1932年生。十代の頃から「夕刊京都」などに投稿作品を掲載し、カバヤ文庫の単行本なども執筆、1954年頃から日の丸文庫でいそじましげじ」名義の単行本を刊行する。「磯島しげじ」名義の作品もある。その後、上京して「巴里夫」に改名。若木書房から「こだま」「泉」「風車」などの少女アンソロジー誌に数多くの作品を発表し、また単行本も出す。雑誌デビューは1965年の『さよなら三角』(「りぼん」)。2016年没。
 私は「いそじましげじ」名義の作品にはまったく覚えがない。貸本屋で少女まんがを借りる場合、まず探すのは巴里夫だった。何といっても
『ごきげんシリーズ』(全26巻)が有名だが、「ひまわりブック」のシリーズにも作品が多かった。アンソロジー誌などは、巴里夫の作品が載っているのを確認して借りたほどである。場合によっては巴作品だけを立ち読みしてしまい、借りないこともあった。貸本の少女まんがは私にとってはつまらない作品が多い。その中で巴作品は読みやすく、面白かった。絵はシャレているというよりは類のない独特なもので、好感を持てた。ストーリーも近所の女の子の話といった親近感を覚えるものが多い。友人関係や親子関係に真剣に悩む主人公たちに感情移入がしやすかったのである。ちょうど私が「りぼん」のカラーシリーズ(別冊付録)を読んでいた時期に『さよなら三角』が発表されたのも覚えている。画像の『ちびっこ先生』(貸本時代の描き直しと思われる)『よーいドン!』もカラーシリーズとして発表された作品である。代表作としては『ドレミファ学園』『5年ひばり組』などがある。さすがに少女誌の連載中心になると私には読み逃した作品が多いが、可能ならば全作を読みたい作家である。 

※画像データ (左から)『雪ん子の歌』(若木書房・巴里夫ごきげんシリーズ14・刊行年不明)、『おとめ祭』(若木書房・巴里夫ごきげんシリーズ)、『さよなら三角』(若木書房・ティーンコミックス・1969年初版)、『ふたりの口笛』(若木書房・ジュニアコミックス・1968年2刷)、『よーいドン!』(若木書房・ティーンコミックス・1971年初版)、『山ねこ教室』(若木書房・ティーンコミックス・1971年初版)

★鳥山明★ 
 1955年生。1978年、「週刊少年ジャンプ」の『ワンダー・アイランド』でデビュー。 
 
※画像データ (左から)『Dr.スランプ(3)』(集英社・1980年第1刷)、『ドラゴンボール(42)』(集英社・1995年第1刷)、『鳥山明○作劇場(1)』(集英社・1983年第1刷)、『COWA!』(集英社・1998年第1刷)、『カジカ』(集英社・1999年第1刷)、『SAND LAND』(集英社・2000年第1刷) 

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